2005 Fiscal Year Annual Research Report
小児患者への適用を可能とする成長性を有した生体組織由来scaffoldの開発
Project/Area Number |
14380419
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
藤里 俊哉 国立循環器病センター(研究所), 再生医療部, 室長 (60270732)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岸田 晶夫 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 教授 (60224929)
中谷 武嗣 国立循環器病センター(研究所), 臓器移植部, 部長 (60155752)
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Keywords | 再生医療 / 脱細胞化 / スキャフォールド / 組織工学 / 細胞移植 / 組織移植 |
Research Abstract |
我が国では年間1万件以上の心臓弁置換術が施行されている。我々は、同種あるいは異種組織から細胞成分を消失させた後に患者の細胞を組み込んだテーラーメード型組織移植を目指している。移植後に自己細胞が侵入することでリモデリングされ、自己組織化されるため、移植後に成長する移植組織が作出し得ると考えられる。 ドナーとなるミニブタから、肺動脈弁及び下行大動脈を採取し、超高静水圧印加処理によってドナー由来細胞を破壊した。続けて、洗浄液及びエタノールで洗浄した。肺動脈弁及び下行大動脈を同種ミニブタに同所性に移植した。 昨年度は、脱細胞化下行大動脈の同種移植実験にて移植後組織内の石灰化を報告した。この理由として、脱細胞化処理後の組織内にリン脂質の残存が認められたため、超高圧処理後の洗浄過程にてアルコール処理を導入することで、その残存量を顕著に減少させることができた。現在、同種移植実験を継続中であるが、下行大動脈組織で、石灰化が極めて抑制されている結果を得つつある。 欧米では脱細胞化処理に薬液を用いた方法で、既に数グループが臨床応用を開始しているが、米国社の製品では、不十分な脱細胞化が原因と思われる移植後早期の不全例が報告され、現在、製造停止状態にある。一方、独国フンボルト大学のグループは、100名以上の患者に適用しており、異常所見は認められていないと報告している。我々は、ミニブタを用いた同種肺動脈組織での良好な結果を受けて、脱細胞化同種肺動脈弁の臨床応用は2年以内に可能であろうと考えている。脱細胞化同種大動脈弁や血管、及び患者細胞を播種した異種組織についても数年以内の臨床応用を目指している。
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