2002 Fiscal Year Annual Research Report
紛争後開発途上国における女性の健康問題の要因分析と改善の方策
Project/Area Number |
14390025
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
青山 温子 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (40184056)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
喜多 悦子 日本赤十字九州国際看護大学, 看護学部, 教授 (40075130)
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Keywords | 地域紛争 / 開発途上国 / 女性の健康 / 復興開発 / 保健医療対策 / 精神的健康 / 国際研究者交流 / 多国籍 |
Research Abstract |
本研究の目的は、開発途上国の地域紛争が与える女性の心身の健康への影響を、医学的・社会的・経済的に分析し、効果的介入法を提案することである。すなわち、地域紛争による女性の心身の健康問題を、その要因、女性の健康問題が家族等周囲に及ぼす影響、及び、紛争前・中・後の保健医療対策から分析し、各種介入法を検討する。初年度は、カンボジアを主対象地とした他、アフガニスタン・パレスチナ状況もあわせて検討した。 カンボジアでは、首都プノンペンと周辺の病院・診療所の患者又は付添いの女性、各施設の医療従事者、及び農村部女性への面接による質的調査と、農村部と都市スラム地域の女性によるフォーカス・グループ・ディスカッションを行い、以下の知見を得た。(1)女性の現在の健康は、過去の紛争より現在の経済状況による影響が大きい。(2)夫の存否が女性の精神的健康に大きく影響する。(3)紛争中の強制労働・低栄養は、現在の健康問題にも影響している。(4)紛争中の避難・強制移住が、家族離散や地域社会崩壊を来たし、女性の精神的健康に影響している。(5)過去の困難さは同程度でも、女性の教育水準や出身地等により現状は多様化する。(6)紛争後の保健医療体制改善は著しいが、貧富の差による不公平等、新たな問題が生じている。 紛争10年後の現在、女性の健康は過去よりも現在の生活状況によるところが大きいと判り、紛争後復興から継続的に経済・社会開発が進むことの重要性が再確認された。また、夫のいない女性や、教育水準の低い都市部女性に対する効果的介入法の開発が必要と考えられた。収集資料の分析とあわせて、さらなる解析を進める。 アフガニスタンでは、首都カブールと近郊の女性の現状を調査した。パレスチナは、過去、集積した保健医療知見をジェンダー視点から再検討した。第2年度以降アフリカの現地調査とあわせ、これら各地の状況と比較検討する。
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[Publications] Kita, E.: "International Cooperation in Health and Medical Care."Japan Review of International Affairs. 16・4. 315-327 (2002)
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[Publications] 喜多悦子: "人間の安全保障としての健康"アジア新秩序研究会年報. (印刷中). (2002)
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[Publications] 青山温子: "中東地域における保健医療分野での復興開発支援とジェンダー"第3回UNDP-JICA合同ジェンダーセミナー「復興開発支援とジェンダー」報告書. 23-30 (2002)
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[Publications] 青山温子: "保健医療分野におけるアフガニスタン女性支援"共同参画21. 592. 22-23 (2002)
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[Publications] 青山温子: "健康・開発とジェンダー"女性教養. 592. 3-6 (2002)
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[Publications] 青山温子: "健康、開発、そして平和"時局. 36・5(印刷中). (2003)
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[Publications] 原ひろ子, 青山温子, 池上清子, 岩男壽美子, 内海成治, 喜多悦子: "アフガニスタンの女性支援策について"内閣府男女共同参画局. 143 (2002)