2004 Fiscal Year Annual Research Report
紛争後開発途上国における女性の健康問題の要因分析と改善の方策
Project/Area Number |
14390025
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
青山 温子 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (40184056)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
喜多 悦子 日本赤十字九州国際看護大学, 看護学部, 教授 (40075130)
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Keywords | 地域紛争 / 開発途上国 / 女性の健康 / 復興開発 / 保健医療対策 / 精神的健康 / 国際研究者交流 / スリランカ:カンボディア |
Research Abstract |
本研究の目的は、開発途上国の地域紛争が与える女性の心身の健康への影響を、医学的及び社会的側面から分析し、効果的介入法を提案することである。当初、第3年度はパレスチナを対象とする計画だったが、紛争が再燃し現地調査が難しいため、スリランカに変更した。また、カンボディアで、紛争中・後の感染症対策の経緯と現状について調査した。 スリランカでは、多数派シンハラ人政府と北東部タミール人反政府組織(LTTE)との間に約20年間紛争が続き、2002年に停戦合意に至っている。まず、政府及び北東部の保健行政機関、援助機関、NGOなどから資料を収集した。北部の政府支配地域及びLTTE支配地域では、医療施設を訪問して情報収集し、医療従事者及び地域住民女性に対する質問表調査を行った。また、北部及び首都の医科大学生に対して、北東部勤務に関する意識調査を行った。さらに首都近郊および中南部貧困地域の医療施設を調査して北東部と比較検討した。 紛争前に他地域と同等であった北東部の保健医療水準は悪化し、医療施設の不備や専門医などの著しい人材不足が認められた。質問表調査でも、人員不足、卒後教育不備などがあげられた。スリランカは従来から社会開発に重点を置いてきたこともあり、女性の状況は他の紛争後国に比べ良好であった。北東部においても地域の准助産師が妊産婦をケアし、殆んどの出産が医療施設で行われていた。国内避難民居住地などでは、精神的健康の問題や、女性に対する暴力の問題が認められた。女性の精神保健に関するニーズは高いが、一部NGOなどによるケアに留まっていた。その他、飲料水とトイレが確保されていない、健康情報が不足しているなどが課題としてあげられた。 今後は、医療施設整備などに加え、医師のローテーション制度や卒後教育体制の整備などが必要である。また他の貧困地域にも配慮した偏らない復興開発を進めるべきである。
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Research Products
(12 results)