2004 Fiscal Year Annual Research Report
感情障害の病態とEmotional Neuroplasticityに関する研究
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14390037
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Research Institution | HIROSHIMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
山脇 成人 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (40230601)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森信 繁 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教授 (30191042)
岡本 泰昌 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 講師 (70314763)
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Keywords | 感情障害 / うつ病 / 摂食障害 / 神経可塑性 / 母子分離動物モデル / ストレス脆弱性 / 海馬 / 前頭前野 |
Research Abstract |
感情障害の病態として、1)細胞内Ca^<2+>関連遺伝子異常→2)ストレスによる細胞内情報伝達関連遺伝子の修飾→3)細胞内Ca^<2+>動員亢進→4)Emotional Neuroplasticityの異常→5)感情制御機構の破綻→6)感情障害の発症という過程を想定して研究を行った。 1)母子分離によるストレス脆弱性と海馬Neuroplasticity 1)母子分離によるストレス脆弱性は、海馬の拘束ストレス負荷に伴うinsuline-like growth factor(IGF)-1受容体,IGF binding protein 2の発現の低下が関与していた。2)不安行動とは無関係に、成熟期の海馬を介した記憶・学習機能が低下し、良好な飼育環境によって機能低下が緩和された。3)母子分離による記憶・学習機能の低下には、海馬でのIntegrin・3(CD61)発現の低下の関与していた。この結果は、母子分離が海馬神経のNeuroplasticityに影響を及ぼし、ストレス脆弱性を形成している可能性を示唆している。 2)感情制御機構の脳機能画像解析研究 1)摂食障害の情動障害に注目し、身体イメージに関する不快な情報を処理する神経基盤についてfMRIを用いて検討した。その結果、不快な情動刺激に対して女性では扁桃体が、男性では前頭前野、帯状回が活性化され性差が確認された。2)ストレス適応機構として、将来の報酬予測に着目し、その脳機能局在について検討を行った。その結果、短期報酬予測には島皮質・線条体の腹側を含む神経回路が、長期報酬予測には島皮質・線条体の背側を含む神経回路が活動しており、後者にセロトニン神経活動が関与していた。うつ病の患者ではセロトニン機能が低下しており、長期報酬予測機能が障害されているため、行動抑制や短絡的な行動を呈することが推定された。
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Research Products
(12 results)