2004 Fiscal Year Annual Research Report
欧米系日本人の独自のアイデンティティの保持と「日本人」への同化に関する調査研究-小笠原諸島の言語、文化、政治、経済における歴史的変遷とその現状-
Project/Area Number |
14390043
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
LONG Daniel 東京都立大学, 人文学部, 助教授 (00247884)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ELDRIDGE Robert 大阪大学, 大学院・国際公共政策研究科, 助教授 (50335329)
小西 潤子 静岡大学, 教育学部, 助教授 (70332690)
CUNNINGHAM Paul 立教大学, 観光学部, 教授 (90173682)
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Keywords | 欧米系日本人 / 小笠原諸島 / Bonin Islands / 民族音楽 / エコツーリズム / 言語接触 / 日米外交史 / アイデンティティ |
Research Abstract |
本研究は、小笠原諸島の欧米系島民の知られざる現状と歴史を言語、文化、政治、生活経済の様々な観点から調査し、分析したものである。具体的には、島民がどのようにして、日本語、日本文化、日本国籍、日本の生活習慣を取り入れ、適応したかという問題に取り組んだ。そして、日本的な要素をどのようにして自分たちに合うように変化させたかという過程に注目した。一方、島民は自分たちの独自の言語や文化、特に音楽や踊りをどのように維持しているかを見た。また、政治(政治的意識や村議会の有り方など)や生活経済形態(主に自分たちの歴史・文化を売り物とする観光産業)との関係にも注目した。こうした観点から、彼らはいかにして「日本人」に同化しながら、独自性を維持してきたかを研究の中心的目標にした。 歴史的・政治的な経緯によって、日本では「和人」以外の存在は、極めて稀である。そうしたなかで、自らのコミュニティを積極的に形成してきた欧米系島民の事例は、貴重なものと言える。その特色は、明治時代から共に生活してきた「日系島民」、または他の国との比較によっても明白になった。 最終年度にあたる2004年の研究活動は次の通りである。小西が小笠原の「南洋踊り保存会」のメンバーをパラオで開催された太平洋芸術祭に連れて行き、太平洋地域の人に対して小笠原に伝わって島独自のものに進化したこの踊りの歴史と現状について説明と実演が行われた。ロングが学部生・院生を小笠原へ連れて行き、米軍統治下で英語による教育を受けた島民の日本語教育・日本習得に関する聞き取り調査を行った。カニングハムは2004年の3月に父島の地域福祉センターで、観光産業関係者に対し、前年の調査報告と説明会を行った。10月に同センターで継続可能な観光に関するワークショップを開催した。 なお、3年間に4人の研究業績(雑誌論文、口頭発表、本、講演会など)は133点に及ぶ。
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Research Products
(8 results)