2003 Fiscal Year Annual Research Report
朱の産地推定から見た古代国家形成過程に関する総合的研究
Project/Area Number |
14390063
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Research Institution | Kashihara Archaeological Institute , Nara prefecture |
Principal Investigator |
今津 節生 奈良県立橿原考古学研究所, 資料室・保存科学研究室長, 総括研究員 (50250379)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 和也 奈良県立橿原考古学研究所, 理学研究所・加速器基礎研究部, 専任研究員 (70221356)
今井 亮 九州大学, 理学部・地球資源システム工学部門, 助教授 (90223304)
南 武志 近畿大学, 理工学部・生命科学科・環境生物学研究室, 助教授 (00295784)
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Keywords | イオウ同位体 / 辰砂鉱石 / 朱 / 産地推定 / 微量元素 |
Research Abstract |
朱は弥生時代の末から古墳時代の前期にかけて(2世紀〜4世紀)、有力な王の墓から真っ赤な朱が大量に発見される。特に3世紀後半以降、大和を中心に築かれた巨大古墳の埋葬施設は、朱で真っ赤に塗られ、鏡などの豪華な副葬品が納められる。さらに4世紀になると、各地への古墳の広がりと共に、埋葬施設への朱の大量使用も急速に全国へ広がってゆく。このように朱の大量使用の時代は卑弥呼が登場する邪馬台国の時代とも重なり、我が国の古代国家が統一される激動の時代である。本研究では、朱が大量使用された時代(1世紀〜4世紀)に焦点をあて、朱はどこからもたらされたのか、朱は古代国家の統一事業にどのように利用されたのかを解明することを目的とする。 本年度は地質標本館から堤供を受けた朱鉱石のサンプル約700点の中から360点についてイオウ同位対比分析を行った。また、日本各地の弥生時代から古墳時代にかけて、墳墓の埋葬施設から発見された朱、約100点についてもイオウ同位対比分析を行った。 さらに、中国大陸の辰砂鉱石の産地である貴酬省、雲南省の辰砂鉱石を採取して、イオウ同位対比分析を行い、日本国内の辰砂鉱石、および遺跡出土朱のイオウ同位体比と比較検討した。その結果、弥生時代後期〜末の西日本各地の有力な墳墓から発見された朱のイオウ同位体と中国貴酬省、雲南省の辰砂鉱石のイオウ同位体に類似性が認められた。また、古墳時代の遺跡出土朱のイオウ同位体は日本の辰砂鉱石、特に三重県丹生産の辰砂のイオウ同位体と類似性が認められた。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 南武志, 今井 亮, 今津節生: "中国貴酬省と湖南省辰砂鉱石のイオウ同位体比測定"考古学と自然科学-日本文化財科学会誌-. 46号. 67-74 (2004)
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[Publications] 南武志, 今井 亮, 今津節生: "イオウ同位体比より見た遺跡出土朱の産地推定"日本文化財科学会第20回大会研究発表要旨集. 50-51 (2003)