2003 Fiscal Year Annual Research Report
GPSを用いたフィリピン海南東部のテクトニクスの研究
Project/Area Number |
14403003
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
加藤 照之 東京大学, 地震研究所, 教授 (80134633)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中田 節也 東京大学, 地震研究所, 教授 (60128056)
田部井 隆雄 高知大学, 理学部, 助教授 (40207220)
松島 健 九州大学, 大学院理学研究院, 助教授 (40222301)
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Keywords | GPS / 北マリアナ諸島 / 背弧 / 背弧拡大 / プレート運動 / フィリピン海プレート / アナタハン島 / 噴火 |
Research Abstract |
2003年5月に同諸島の中のアナタハン島において有史以来の噴火活動が始まった.そこで,計画を若干変更し,今年度はこの噴火活動に伴う総合調査を実施することとした.GPS観測に基づくテクトニクス研究の立場からは,各島のテクトニックな変位と火山活動に伴う変位を精密に分離しなくてはならない.また,北マリアナにおける火山活動に伴う変形は過去にあまり例がなく,火山噴火のメカニズム解明のためにも緊急に実施すべき事項と考えられた. 2003年7月14-20日に調査を実施した.まず,サイパン島に固定観測点を設置した.この観測点は北マリアナ諸島におけるはじめての測地用固定観測局として基準点の役割を今後果たすものと考えられる.また,土地測量局の局舎には旧来からの臨時観測点を設置した. 続いて,船舶をチャーターしてアナタハン島に上陸し,繰り返し観測を実施してきた島北西にある基準点に固定の基台を装着し,連続観測の態勢を整えた.続いて,地質調査を実施した.5-6月の噴火に伴う噴出物調査,熱赤外温度計による火口温度測定,レーザー測距儀による火口調査を行った.その結果,噴火活動は山頂部,東カルデラの内部にある大火口の底で起こったこと,プリニー式噴火から水蒸気爆発に移行し,途中で一旦形成された溶岩ドームが破壊されたことが分かった.なお,その後の調査で,現在の噴火口は直径400m深さ約80mで,火口底標高は10〜20mであるが噴火直後では-30mであったと考えられる.また,昨年7月に認められた火口北縁の潜在ドームの一部と見られる隆起部は崩壊した.火口の温度は約300度から約150度へと低下し高温領域も縮小した.調査は山頂カルデラの形成前後の噴出物についても行った.カルデラ縁や外斜面には水蒸気爆発堆積物が厚く一面に堆積しているものの,大規模噴火を示す軽石流堆積物等は認められなかった.
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Kato, T., other 5 authors: "Geodetic evidence of back-arc spreading in the Mariana Trough"Geophysical Research Letters. 30. 27-1-27-4 (2003)
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[Publications] Kato, T.: "Tectonics of the eastern Asia and the western Pacific as seen by GPS observations"Geosciences Journal. 7. 1-8 (2003)