Research Abstract |
本研究では,震源断層帯の繰り返しの地震破壊過程を解明するために、主に中国大別山超高圧変成岩地域の剪断帯とオーストラリア中央部における幅数キロ,長さ数百キロに亘る露出した世界最大規模のシュードタキライト帯の形成メカニズムについての研究を行った。また、平成13年11月14日の中国昆崙山中部地震(Ms8.1)では,地震断層の破壊メカニズムと被害との関係が本研究の主旨である断層破壊メカニズムの解明と密接に関連しているため,現地で地震断層と地震被害の調査を行った.また,活断層・地震断層と断層破砕帯・震源断層岩の形成メカニズムとの関連性を明らかにするため,六甲断層・有馬高槻構造線・糸魚川-静岡構造線および1999年台湾集集地震のボーリング掘削コアの断層岩の調査解析も行った.これらの研究成果は国際・国内の学術雑誌に20編以上の論文にまとめられている。主に下記のような研究成果が得られた。 1)オーストラリア中央部のMasgrave山地のWoodroofe faultおよび中国大別超高圧変成帯に産出した大規模シュードタキライトに露出した大規模シュードタキライトは,地殻浅部の脆性破壊領域から深部の塑性変形領域までの地震断層の繰り返し運動により形成されたことが示された. 2)上記2ケ所のシュードタキライトはカタクレーサイト・マイロナイトおよびマイロナイト化したシュードタキライトとともに同じ断層露頭で共存していることが明らかとなった.これは,震源から始まった地震断層の破壊は断層深部の塑性変形領域まで伝播して行ったことを示している. 3)糸魚川-静岡構造線活断層系:下円井断層に産出した粉砕起源のシュードタキライトを発見した.このシュードタキライトは糸魚川-静岡構造線活断層系の完新世後期の最新活動により形成されたものであることが明らかにされた. 4)1999年台湾集集地震の車龍埔地震断層のボーリング掘削コアの解析を行った.その結果,(1)断層岩は主にS-C構造の発達したタクレーサイト,断層角礫およびガウジから構成されること,(2)地震断層は50°〜80°以上の高角度の横ずれ変位成分を伴った逆断層であること,(3)地震断層すべりはS-C構造の発達した1〜3mmの断層ガウジ帯に集中したこと,などが明らかにされた. 5)2001年中国昆崙山中部M8.1地震の昆崙地震断層帯の調査研究では,解像度1mのIKONOS画像を用いて,全長400km以上の主要なセゲメントの地表地震断層の形態構造を異なるスケールでマッピングを行った.その結果,巨視的に地表地震断層のストランドはに直線状であるが,地表面において1m分解能の画像でのトレースは長さ数センチから数十メートルの雁行状配列のラプチャーから構成されることが明らかになった.また,地表地震断層帯は,幅数メートルから数キロメートルまで変化するが,一般的には数十メートルの範囲に狭い帯を成していることが明らかにされた。
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