2003 Fiscal Year Annual Research Report
初期地球の海洋化学組成および初期生命体活動環境の規定
Project/Area Number |
14403012
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
掛川 武 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (60250669)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中澤 弘基 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (80333780)
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Keywords | グリーンランド / イスア / 有機炭素 / 有機-金属複合体 / 縞状鉄鉱層 |
Research Abstract |
本研究の目的は、地球史で最古の海洋堆積物、化学沈殿物を最新の地球科学的手法を用いて分析し、コペンハーゲン大学と共同で(1)海洋化学組成を規定する事、(2)初期生命体の痕跡を見出す事、(3)初期生命体の生態系を示す痕跡を見出す事にある。その為に、世界最古の岩石が露出するグリーンランドで地域でフィールドワーク、および岩石採集を行い、最新の分析方法で様々な分析を行った。その結果、縞状鉄鉱層の初生鉱物において酸化物と炭酸塩両方が共存すること、高圧変成作用でのグラファイト生成とその地質環境が明らかになり地表-地殻をむすぶ炭素循環モデルが可能になった。縞状鉄鉱層に挟まれた有機炭素層を新たに見いだすなど、生命活動の痕跡も検出されつつある。 グリーンランドから採集された試料は、東北大学で記載、観察、分析が行われた。特に卓上蛍光エックス線顕微鏡で岩石自身の元素分布様式と有機物の関係を明らかにした。そこでは有機-金属複合体を示す試料もみられ、変成作用で、生物が使う事ができる有機金属系物質が形成されたとする新しい仮説を生みつつある。いくつかの研究成果は、国内論文を中心に発表(「化学」など)し、国際学会でも公表した(Goldschmidt会議)。現地ではNHKなどの取材に協力し、学術的側面のみならず一般普及活動にも本研究は役に立ってきている。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Kakegawa T.: "Importance of water/rock interaction at ancient sub-seafloor regions to supply bio-essential elements to early biota"Water Dynamics Proceeding. vol.1. 34-36 (2004)
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[Publications] 遠藤 一佳, 南澤 究, 掛川 武, 犬伏 和之: "微生物学と地球化学のわかちがたい関係"科学. vol.74 No.2(別刷). 166-169 (2004)
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[Publications] 掛川 武: "太古代海洋における硫酸還元菌の活動と生息環境"地学雑誌. vol.112 No.2(987). 218-225 (2003)
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[Publications] Mori K., Kim H., Kakegawa T., Hanada S.: "A novel lineage of sulfate-reducing microorganisms : Thermodesulfobiaceae fam.nov., Thermodesulfobium narugense, gen.nov., sp.nov., a new thermophilic isolate from a hot spring"Extremophiles 7. 283-290 (2003)
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[Publications] 掛川 武: "最古の岩石が秘める生命起源へのヒント"化学. vol.58 No.7(別刷). 30-31 (2003)
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[Publications] 中澤 弘基: "Claysphere : past, present and futureの視点"粘土科学. vol.42.3. 115-119 (2003)