2004 Fiscal Year Annual Research Report
南半球産呈味蘚苔類およびシダ類の医薬開発およびそれらの化学系統分類
Project/Area Number |
14403014
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Research Institution | Tokushima Bunri University |
Principal Investigator |
浅川 義範 徳島文理大学, 薬学部, 教授 (50033874)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
通 元夫 徳島文理大学, 薬学部, 教授 (90163956)
橋本 敏弘 徳島文理大学, 薬学部, 助教授 (10075955)
豊田 正夫 徳島文理大学, 薬学部, 講師 (50122586)
長島 史裕 徳島文理大学, 薬学部, 助手 (60228012)
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Keywords | 蘚苔類 / テルペノイド / ビスビベンジル / ent-カウレン型ジテルペン / アポトーシス / ネクローシス / マダガスカル / ニュージーランド |
Research Abstract |
マダガスカルおよびニュージーランドで採集した呈味を有する苔類の化学成分を本年度もGC/MS,600MHzNMR分析機器で、徹底的に探索し、11報の論文を報告した。主なものを6報裏面に示した。マダガスカル産ヤクシマゴケ属Isotachis aubertiiは日本産I.Japonicaとは異なり含硫ベンゾエートを全く含まず、アロマデンドラン型セスキテルペンおよび桂皮酸フェネチルを主成分とし、本種はニュージーランド産I.lyaliiと同系に分類されることが判明した。サワラゴケからは多種のヘルベルタン型セスキテルペン、その二量体が単離され、本種は日本産、ボルネオ産の種とは成分がことなり、むしろ台湾、西マレーシア産の同種と一致し、化学成分の地域差が大きいことが判った。ヘルベルタン二量体は酵素によってヘルベルタンから生成されることを糸状菌を使用して解明した。ムチゴケ属Bazzania decrescensは日本産ヤマトムチゴケ(B.Japonica)に、またB.madagassaは前者とは形態は類似するが、化学成分はミルタイラン型セスキテルペンを主成分とし、生合成ルートは全くことなる。ニュージーランド産Tylimanthus tenellusからは新規フムラン型セスキテルペンが得られ、また地衣成分に特徴的な芳香族化合物ブルビン酸も発見された。本種はチチブイチョウゴケ科Acrobolbaceaeに分類されているが、成分はハネゴケ属にもゼニゴケ属にも類似し興味深い。さらにニュージーランド産Heteroschyphusから新規クレドランが、オヤコゴケ属Schistochila graucescensからは大環状ビスビベンジルとこれまでに例を見ないビスビベンジル・セスキテルペン二量体2種が得られた。ハネゴケ2種Plagiochila deltoideおよびP.fasclculataからはベンゾフェノン誘導体2種と新規ロザン型ジテルペンおよびピマラン型ジテルペンがそれぞれの苔から得られた。これらの成分比較からH.lardieriiはウロコゴケ属のうちクレドラン型に分類され、Schistochila graucescensは他のオヤコゴケと化学的にはまったく異なる。ロザン型およびピマランジテルペンを生合成するP.deltoideaおよびアセトフェノンを含有するP.fasciculataは2,3-セコアロマデンドランやビベンジルを生合成する一般的なハネゴケとはまったく異なる種と考えられる。Chiloschyphus subporosusからは天然化合物として初めて新規アロマデンドラン・グアイアン二量体テルペン、ユーデスマン型セスキテルペンを得た。さらにウロコゴケ類(Jungermannia)から得られる数多くのent-カウラン型ジテルペンが人白血病細胞に対しカスペース-8依存ルートにより強い細胞自殺(Apoptosis)およびnecrosisを誘導することを見出した。 本年2月には2週間、アルゼンチン、パタゴニア、サルタ地方でアルゼンチン共同研究者と一緒に新規苔類50種とシダ類12種を採取して、来年度の研究試料とすることができた。またこれまでの苔類の生物化学に貢献したとして昨年10月に国際精油シンポジウム賞をアジア、オセアニア地域から初めて受賞することができた。
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Research Products
(6 results)