2004 Fiscal Year Annual Research Report
東南アジア諸国における都市地下水環境保全に関する調査研究
Project/Area Number |
14404003
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大津 宏康 京都大学, 国際融合創造センター, 教授 (40293881)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大西 有三 京都大学, 工学研究科, 教授 (30026348)
西山 哲 京都大学, 工学研究科, 助教授 (00324658)
安田 亨 パシフィックコンサルタンツ(株), 大阪本社プロジェクト部技術課, プロジェクトリーダー(研究職)
李 圭太 (株)建設技術研究所, 大阪支社環境本部技術部, 課長(研究職)
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Keywords | 広域地下水 / 地盤沈下 |
Research Abstract |
本研究においては、ベトナム・ハノイ地区における地下水揚水に伴う地下水環境への影響評価に関するデータ収集・分析を行うと共に、大バンコク地区における、都市地下水環境シミュレーションモデルの高度化に関する研究を実施した。 ハノイ地区における調査としては、ハノイにおいてワークショップを開催し、データ収集・分析に関する検討を実施した。この結果として、ハノイ地区の帯水層は、周辺河川との通水性が高いことから地下水位の回復がなされていること、およびハノイ地区の帯水層からの揚水量が比較的少ないことから、現状では地下水環境に関する課題が顕在化していないことが明らかとなった。 次に、大バンコク地区については、将来予想される地下水揚水に対する地下水位低下特性および地盤沈下特性について検討した。この結果として、地下水取水に関する制限措置により、大バンコク地区の中心部では地盤沈下量が、前年度の評価結果に比較して多少低減する傾向となるが、その他の周辺地区では今後0.5〜1mにも及ぶ多大な地盤沈下量が想定されることを明らかにした。また、地盤沈下量算定モデルに含まれる解析パラメータの不確実性が結果に及ぼす影響としては、粘土含有率の不確実性が優位となり、中でも最上位のバンコク帯水層の粘土含有率の不確実性が支配的になることについても明らかにした。 さらに、算定された確率量となる地盤沈下量を用いて、大バンコク地区の中心部を流れるチャオプラヤ川の堤防付近を対象とした洪水リスクに関する検討をも実施した。具体的には、タイ政府により実施されている洪水対策において、チャオプラヤ川の堤防高に関する許容沈下量に対して、チャオプラヤ川流域の代表点で想定される沈下量が超過する確率を洪水リスクとする検討を実施した。この結果として、洪水リスクは、各箇所での地層構成及び揚水箇所の分布により大きく変化すること、また帯水層の粘土含有率の不確実性が想定される洪水リスクの感度に大きく影響することを明らかにした。
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