2004 Fiscal Year Annual Research Report
カンボジアおよびタイのクメール建造物の石材並びに石材劣化に関する研究
Project/Area Number |
14404016
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
内田 悦生 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (40185020)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
輿石 直幸 早稲田大学, 理工学術院, 助教授 (00257213)
下田 一太 早稲田大学, 理工学術院, 助手 (40386719)
細野 高啓 早稲田大学, 理工学術院, 助手 (30367065)
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Keywords | アンコール遺跡 / クメール遺跡 / 硫黄同位体 / ストロンチウム同位体 / 放射性炭素年代 / コラート層群 / プラサート・スープラ |
Research Abstract |
2004年度では、以下の3項目に関して調査・研究を行った。 (1)アンコール遺跡プラサート・スープラの建造年代を推定するためにアンコール遺跡における石材特徴の時代変化を調査するとともにプラサート・スープラの内壁のスタッコおよび石材の目地から採取された木炭に対する放射性炭素年代測定を行った。その結果、プラサート・スープラは従来のアンコール時代末期のバイヨン期ではなくアンコール・ワット期の建造であることが明らかとなった。 (2)アンコール遺跡ではリン酸塩・硫酸塩を伴う塩類風化と方解石を伴う塩類風化の2種類の塩類風化が観察される。この塩類物質の起源を探るべく、硫黄およびストロンチウム同位体比の測定を行った。その結果、硫黄およびストロンチウムともに主としてコウモリの排泄物に由来していることが判明した。ただし、これに加え、硫黄に関しては雨水からの若干の寄与が、また、ストロンチウムに関しては砂岩材からの若干の寄与が考えられる。 (3)ラオスのワット・プー遺跡およびシダ遺跡の調査を行うとともにカオ・プラ・ビヘア、パノム・ルン、ムアンタム、ピマーイ、パノム・ワン遺跡等タイの主要なクメール遺跡の砂岩材の再調査を行った。これらの遺跡の砂岩材と遺跡周辺に分布するコラート層群の調査を行い、クメール遺跡の砂岩材の供給地の推定を行った。その結果、タイおよびラオスのクメール遺跡の砂岩材は、3つのグループに分けられ、Khok Kruat Formation、Phu Phan Formation/Sao Khua Formation /Phra Wihan Formation、Phu Kradung Formationがそれぞれの起源となっていることが解明され、遺跡の砂岩材が周辺地質に規制されていることが明らかとなった。
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Research Products
(1 results)