2003 Fiscal Year Annual Research Report
重層社会を作るヒヒ類の社会生態学的、集団遺伝学的研究
Project/Area Number |
14405005
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
森 明雄 京都大学, 霊長類研究所, 教授 (50027504)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩本 俊孝 宮崎大学, 教育文化学部, 教授 (40094073)
杉浦 秀樹 京都大学, 霊長類研究所, 助手 (80314243)
庄武 孝義 京都大学, 霊長類研究所, 教授 (00003103)
山根 明弘 北九州市立自然史博物館, 学芸員 (10359474)
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Keywords | マントヒヒ / 遺伝的変異性 / ミトコンドリアDNA / ヒヒ類の種分化 / 重層社会 / ワン・メイル・ユニット / 父系 |
Research Abstract |
サウジアラビア国タイーフ市のダムサイト群で2003年8,9月,12月フィールド調査を行った。標識個体から見た社会構造の分析では、ワン・メイル・ユニットの雌の一部がユニットを離れ別のユニットに加わることが分かった。エチオピアで見られるリーダー雄の弱体に伴いユニットが崩壊し全部の雌が移籍するのとは違う様相を示す。 バンドについては、2002年には4バンドが確認された。内1バンド(約70頭)が消失した。2002年には、コンパクトに集まり、クラン的特徴を示したC集団は2003年も継続した。しかし残りの2バンドのメンバーは混ざり合い区分できなかった。Cの若いオトナ雄が、C以外の雌を集めて新たなユニットを作ったが、Cをクランとすると、出身クランの中でしかユニットを作らないという通説とは異なる。マントヒヒが父系であるという仮説とは違った結果を示唆する。 2000年に標識をつけ、以後確認できなかった雌が、2003年に近隣集団からダムサイト群に一時的に参加した2ユニットに混ざっていた。ダムサイト群は閉系でなく、マントヒヒのユニット関係には、ゲラダヒヒと似たものがあると分かった。 招聘した海外共同研究者のブークは、2000年に行った毎月調査の行動タイムサンプリングデータの集計・分析を行い、季節特徴的な活動収支及び日周リズムを明らかにする等の結果を得た。 12月にはダムサイト群で2回の捕獲を行い、雄21頭、雌16頭の採血および標識付けを行った。またダムから南西に22キロのシャファの地溝帯の崖でも捕獲を行い、雄6頭、雌15頭の採血・標識付けを行った。資料は持ち帰ってマイクロサテライトを標識とし血縁関係を解析中である。また、mDNAのD-loopの上流域の340 baseの配列を決定しつつある。比較のためエチオピア中央部のマントヒヒ、アヌビスヒヒのmDNAの配列も決めた。サウジのマントヒヒ中にもアヌビスヒヒに似た配列を示す個体が出現し複雑な系統関係を示している。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] MORI A, Belay G, Iwamoto T: "Changes in unit structures and infanticide observed in Arsi geladas"Primates. 44巻3号. 217-223 (2003)
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[Publications] YAMANE A., SHOTAKE T., MORI A., BOUG A.I., IWAMOTO T.: "Extra-unit paternity of hamadryas baboons (Papio hamadryas) in Saude Arabia"ETHOLOGY ECOLOGY & EVOLUTION. 4巻15号. 379-387 (2003)