2004 Fiscal Year Annual Research Report
タイ熱帯季節林の更新・維持に及ぼす山火事・タケの一斉開花の影響の解明
Project/Area Number |
14405009
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Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
田中 浩 独立行政法人森林総合研究所, 森林植生研究領域, チーム長 (80343789)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石田 厚 独立行政法人森林総合研究所, 植物生態研究領域, 室長 (60343787)
高橋 正通 独立行政法人森林総合研究所, 立地環境研究領域, 室長 (40353750)
中静 透 総合地球環境研究所, 教授 (00281105)
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Keywords | タケ / 一斉開花 / 枯死 / デモグラフィー / 熱帯季節林 / 更新 / 山火事 / 乾燥 |
Research Abstract |
<タケ稈のデモグラフィー>林床に共存する株立ち(pachymorph)型のタケ4種、(Gigantchloaalbociliata(GA),G.hasskariana(GH),Bambusa tulda(BT),Cephalostacyum pergracile(CP))のいずれの種も、最大稈高は12m程度、GHは斜面下部、GA、BTは斜面中部、CPは尾根部に分布している。GHは一斉開花・枯死後4年目から観測、その後開花せず、GAとCPの2種は観測期間中に一斉開花・枯死、BTについては観測期間を通じて開花・枯死しなかった。 いずれの種も、稈の発生は雨季の前半の7月前後に開始し、8月中ほどにピークを迎えた。稈の死亡は、雨季の半ば以降に始まり、雨季の後半10月にピークを迎えた。GA、CPとも、開花は乾季の始まった11月から乾季の半ば2月まで続いた。一斉開花年には、GA、CPとも、発生稈は小さいサイズに偏った。また、両種の開花前4年間における毎年の総稈数は、GAでは発生と死亡がつり合いほぼ安定していたが、CPでは発生数がやや上回り微増していた。一斉開花年の稈の死亡率は、GAで70%、CPで90%、その後の稈の死亡も考慮すると、ほとんどの成熟株が開花後枯死し、新たな実生個体群と世代交代した。GAでは、一部の被圧個体が生存した可能性がある。 周辺のGAの一斉開花・枯死による光環境の好転により、BTの発生稈密度、サイズは急激に増加した。資源の獲得と配分に関わる生活史の内的なサイクルと同時に、密度効果などの外的要因が、タケの稈のデモグラフィーに影響していると考えられた。 <森林動態>観測期間中の2種のタケの一斉開花・枯死にも関わらず、1998,2000,2002年の樹木センサスから評価したdbh5cm以上の樹木の胸高断面積合計・本数密度には、大きな変化は見られなかった。タケの枯死後、新規加入速度は増加したが、死亡速度も高かった。山火事による稚樹の死亡が、更新を阻害した大きな要因と考えられた。光環境、乾燥、山火事の3つの環境因子の相互作用に対する構成樹種間の実生期の適応分化についての論文が、Journal of Vegetation Science 15(2004)に掲載された。
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Research Products
(3 results)