2003 Fiscal Year Annual Research Report
中央アジアおよびザバイカルにおけるヒグマ集団の分子系統地理と進化起源の探索
Project/Area Number |
14405011
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
増田 隆一 北海道大学, 先端科学技術共同研究センター, 助教授 (80192748)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村田 浩一 日本大学, 生物資源科学部, 助教授 (00339285)
天野 哲也 北海道大学, 総合博物館, 助教授 (90125279)
大舘 智志 北海道大学, 低温科学研究所, 助手 (60292041)
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Keywords | ヒグマ / 中央アジア / バイカル湖 / 分子系統 / ミトコンドリアDNA / フィールド調査 / 自然環境 / 遺伝子 |
Research Abstract |
本年度の計画に従って、研究を遂行することができた。研究代表者の増田、研究分担者の大舘ならびに海外共同研究者のアブラモフが、平成15年7月にウランウデを中心とするザバイカル地方(バイカル湖の東沿岸)を訪問し、ヒグマの生息地におけるフィールド調査を行った。ヒグマの生息状況ならびにその地域の植生、その他の哺乳類の生息状況などを把握することができた。その際、ウランウデにあるロシア科学アカデミーシベリア支所の協力も得て、ザバイカル地方の生物相に関する情報交換および標本調査も行うことができた。 また、ミトコンドリアDNAをマーカーとする大陸産ヒグマの分子系統地理的解析を進めている。その大陸産ヒグマの遺伝子データと北海道および環オホーツク海周周辺のヒグマ遺伝子情報とを比較解析しているところである。これまでの分析の結果、大陸内陸部のヒグマには、極東には見られない特異的な遺伝子型が存在することが示唆された。一方、アブラモフは、ロシア科学アカデミー動物学研究所所蔵の中央アジア産ヒグマの標本調査を行い、詳細な捕獲地の情報を整理して分析の準備を進めた。さらに、シベリア永久凍土から発掘された更新世ヒグマ標本を対象とした古代DNA分析法の開発を開始した。現生標本に比べて、古代標本ではDNAが断片化しているため、適切な遺伝子増幅法プライマーと反応条件を設定する必要がある。来年度は、大陸内の別地域のヒグマ標本の収集を行う。さらに、古代DNA分析データを含めて大陸全域に渡るヒグマの地理的変異および時間的変異を明らかにする予定である。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Ming Li: "Phylogenetic relationships among deer in China derived from mitochondrial DNA cytochrome b sequences"Acta Theriologica. 48. 207-219 (2003)
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[Publications] マハムト ハリク: "中国新彊ウイグル自治区に分布する哺乳類の現況と保全"哺乳類科学. 43. 1-17 (2003)
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[Publications] Ryuichi Masuda: "Molecular phylogeography of the Japanese weasel Mustela itatsi (Mustelidae, Carnivora) and the Siberian weasel M. Sibirica on Japanese islands, based on mitochondrial DNA control region variations"Biological Journal of the Linnean Society. (in press).
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[Publications] Tatsuo Oshida: "A preliminary note on banded karyotypes of the short-tailed shrew Blarina brevicauda (Mammalia, Insectivora)"Caryologia. (in press).
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[Publications] Satoshi Ohdachi: "Molecular phylogenetics of Crocidura shrews (Insectivora) in East and Central Asia"Journal of Mammalogy. (in press).
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[Publications] 増田 隆一: "保全遺伝学(分担執筆)"東京大学出版会. 299 (2003)