2004 Fiscal Year Annual Research Report
北半球の温帯林に隔離分布する食材性昆虫類に関する分子に基づく系統生物地理学的研究
Project/Area Number |
14405013
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Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
荒谷 邦雄 九州大学, 大学院・比較社会文化研究院, 助教授 (10263138)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 忠夫 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (90106609)
岩田 隆太郎 日本大学, 生物資源科学部, 教授 (90213298)
近 政博 滋賀県立大学, 環境科学部, 助教授 (00211912)
北出 理 茨城大学, 理学部, 助教授 (80302321)
前川 清人 富山大学, 理学部, 助手 (20345557)
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Keywords | 食材性昆虫 / 系統生物地理 / ミトコンドリアDNA / 16srRNA遺伝子 / 共生 / 北半球 / 温帯林 / 隔離分布 |
Research Abstract |
平成16年度はまず、テロ活動の余波のため、初年度(平成14年度)の調査実施予定を延期していた北米大陸(アメリカ、およびメキシコ)の温帯林での野外調査を8月上旬に、続いて8月下旬にオーストリアの温帯林および北欧のユーラシア北限の温帯林における野外調査を実施した。オーストリアでは野外調査に加えて、世界各国の動植物標本が多数所蔵されていることで有名なウィーン自然史博物館を訪問し、所蔵されている北半球の温帯林産の食材性昆虫類の標本に関する調査研究も行った。さらに12月下旬にはヒマラヤ地域の調査としてネパールの温帯林での野外調査を実施した。なお、このネパールにおける野外調査は当初予定していたブータンでの調査許可が取得できる見込みがつかなかったために、隣国ネパールでの調査に変更したものである。 野外調査地では、参加者全員が各種食材性昆虫類の標本採集、生息木材に関するデータ収集と分析用サンプルの採取、シロアリやゴキブリに関する社会構造や巣中の同居昆虫群集に関する調査を行った。その結果、未記載種の発見や分類学上の再検討に加え、各従来の分布記録を塗り替える多数の新知見を得た。また、成虫と幼虫が同居するメキシコ産カミキリムシの生態など生態・行動学上の新知見も得ることができた。これらの成果は食材性昆虫の分類や系統生物地理学を議論する上で極めて意義深く、その一部はすでに、8月にブリスベン(オーストラリア)で開催された第22回国際昆虫学会をはじめとする内外の学会での講演や内外の学術雑誌に論文として発表されている。 さらに、研究の最終年度にあたる本年度は、研究を継続実施した平成14年度から3年間にわたる現地調査によって蓄積された標本やサンプルを用いて実施した分類学的な再検討や、16srRNA遺伝子を中心としたDNA系統解析に基づいて、各人がそれぞれ「クワガタムシ科をはじめとするコガネムシ上科の系統生物地理(荒谷)」、「クロツヤムシ科の系統分類と分布(近)」、「キゴキブリの系統生物地理(前川)」、「オオシロアリ類の地理分布と生息状況(松本)」、「下等シロアリ類の系統と生物地理(北出)」、「カミキリムシの分布と生息状況(岩田)」などの総合テーマに関する研究成果を取りまとめつつある。これらの研究の中では脂肪体内の共生バクテリアの16srRNA遺伝子解析の比較に基づく分岐年代の推定に加え、各種食材性昆虫の行動や生態的な特性をも加味することで、各食材性昆虫グループの系統進化に関する考察も行う予定である。
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Research Products
(39 results)
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[Book] 形の科学百科事典2004
Author(s)
荒谷邦雄, 近雅博(分担執筆)
Total Pages
916
Publisher
朝倉書店
Description
「研究成果報告書概要(和文)」より