2003 Fiscal Year Annual Research Report
汎熱帯海流散布植物の分子系統地理:地理的障壁を越えた遺伝子交流と種分化
Project/Area Number |
14405015
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
立石 庸一 琉球大学, 教育学部, 教授 (80114544)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梶田 忠 千葉大学, 理学部, 助教授 (80301117)
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Keywords | 汎熱帯種 / 海流散布 / 分子系統地理学 / 地理的障壁 / 遺伝子交流 / オオハマボウ / Hibiscus pernambucensis / モンテンボク |
Research Abstract |
熱帯域に広く分布する汎熱帯種の中には種子散布を海流に頼っているものが多い。これらの植物では、散布体の海流による移動によって広範囲にわたる分散が行なわれ、極めて広い分布域が獲得でき、また遺伝的交流を即されていると考えられる。しかしその一方で、分布域があまりに広いと、遠く離れた集団間の遺伝子交流が少なくなることや、地域的な環境の違いが集団ごとに異なる選択圧をおよぼすことで、集団間の遺伝的分化や種分化が促進される可能性もある。全世界の熱帯海岸域に広く分布する汎熱帯海流散布植物は、集団間の遺伝的交流をどの程度保つことで種のまとまりを維持しているのかを解析するのが本研究のねらいである。 代表的な汎熱帯海流散布植物であるグンバイヒルガオとナガミハマナタマメ、オオハマボウについて、本年度は、米国、ブラジル、メキシコ、プエルトリコで集団を探索し、サンプリングを行った。収集した乾燥葉からDNAを抽出し、塩基配列を決定し、解析を進めている。 とくに、オオハマボウと近縁種である小笠原固有のモンテンボクおよび新大陸のみに分布するH.pernambucensis、H.elatusについて新知見を得た。これらの種の多くの集団について、葉緑体DNAの翻訳領域および非翻訳領域の合計約8000塩基対の配列情報による分子系統学的解析およびハプロタイプ解析を行った結果に基づいて以下のことが考察された。1)汎熱帯海流散布種であるオオハマボウから小笠原のモンテンボク、新大陸のH.pernambucensis、H.elatusがそれぞれ分化した可能性が高い。2)オオハマボウでは、マレー半島やアフリカ大陸を越えた集団間の種子による遺伝子流動の可能性がある。3)H.pernambucensisの太平洋側と大西洋側の集団間では、パナマ地峡を越えた種子による遺伝子流動はほとんど生じていない。4)H.pernambucensisの大西洋側の集団では、オオハマボウとの間で遺伝子流動が生じている可能性が考えられる。
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