2005 Fiscal Year Annual Research Report
汎熱帯海流散布植物の分子系統地理:地理的障壁を越えた遺伝子交流と種分化
Project/Area Number |
14405015
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
立石 庸一 琉球大学, 教育学部, 教授 (80114544)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梶田 忠 千葉大学, 理学部, 助教授 (80301117)
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Keywords | オオハマボウ / アメリカハマボウ / グンバイヒルガオ / 海流散布 / PCR-SSCP解析 / マイクロサテライト / 浸透性交雑 / 遺伝子交流 |
Research Abstract |
(1)フロリダ半島において野外調査を行い、集団遺伝学的解析に必要な、グンバイヒルガオ、Canavalia rosea、Rhizophora mangleのサンプルを採集した。 (2)オオハマボウとその近縁4種ついて、葉緑体DNAの5領域合計約7,500bpの配列を用いて系統解析を行った。また、65集団1,129サンプルを用いてハプロタイプの地理的分布を調べた。その結果、近縁4種はいずれもオオハマボウから種分化したこと、オオハマボウでは広い分布域全体で海流散布種子による遺伝子交流があること、アメリカハマボウ(Hibiscus pernambucensis)では南北両アメリカ大陸によって隔てられた太平洋と大西洋の集団間で遺伝的組成が極端に異なること、また、アメリカハマボウの大西洋の集団ではオオハマボウからの葉緑体遺伝子の浸透があったことが示唆された。(研究発表1) (3)オオハマボウでFIASCO法によるマイクロサテライトマーカーの開発を行った。12のマーカーが得られ、そのうち6つは集団解析に利用できることが示された。(研究発表2) (4)オオハマボウで開発した6つのマイクロサテライトマーカーを用いて、オオハマボウと近縁4種の約80集団(約1,600サンプル)の遺伝的分化の程度を解析した。その結果、オオハマボウでは、太平洋・インド洋地域では頻繁な遺伝子流動があること、西アフリカのオオハマボウ集団は種間の違いに匹敵するほど大きく他集団から分化していたこと、オオハマボウとアメリカハマボウの種間では明瞭な分化があること、アメリカハマボウの太平洋と大西洋の集団間では遺伝的分化がほとんど無いことが明らかになった。 (5)以上の結果をウィーンで開かれた国際植物学会議で発表した。
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Research Products
(2 results)