2003 Fiscal Year Annual Research Report
現生人類頭蓋形態に関する世界的データベース作成-現生人類の起源の解明に向けて-
Project/Area Number |
14405021
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Research Institution | 佐賀医科大学 |
Principal Investigator |
埴原 恒彦 佐賀大学, 医学部, 教授 (00180919)
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Keywords | 現生人類 / 頭蓋形態変異 / 頭蓋データベース / 形態分化 / model-bound法 / 形質人類学 |
Research Abstract |
本研究では、現生人類集団に関する世界最大級の頭蓋形態データベースを作成することにより、現生人類の地理的変異、特異性、ならびに多様性を明らかにし、その進化過程を考察することを直接の目的とする。平成15年度はアメリカ合衆国のAmerican Museum of Natural History(ニューヨーク市)に4週間半出張し、そこに保存されている頭蓋について、調査を行った。調査内容は、頭蓋及び歯の計測、非計測的データ収集である。15年度の調査集団は、南アジア(インド、スリ・ランカ、アフガニスタン)、東南アジア(マレー)、ヨーロッパ(ユーゴスラビア、ハンガリー、ポーランド、オーストリア)、メラネシア(ビスマルク諸島)及びサハラ以南アフリカ(ケニア、タンザニア、その他東アフリカ地域集団)で、総計約1000個体からデータを収集し、データベース化した。この調査により、現在構築中の頭蓋形態データベースには世界の300集団以上が含まれ、総個体数は16000個体ほどのものとなった。しかし、集団によってはまだ個体数が少なく、統計学的信頼性は低いので、今後とも調査を実施する必要がある。分析に関しては、従来、多くの研究者が実施してきたmodel-freeと呼ばれる多変量解析法に対して、model-bound法とよばれる、一種のシミュレーション的な分析法、すなわち、集団の大きさ(人口)や移動、混血、あるいは形態の遺伝率を考慮した新しい分析法のコンピュータプログラムを組み、予備的な分析を行った。その結果、アフリカ集団の過去の人口が他地域に比べて多くなければ今日のアフリカ諸集団に認められる大きな変異を説明できないことが示唆され、また、この仮定に基づいて分析すると、形態においても遺伝的分析と類似した結果が得られることが明らかとなった。
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[Publications] Hanihara T: "Characterization of biological diversity through analysis of discrete Cranial traits"American Journal of Physical Anthropology. 121. 241-251 (2003)
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[Publications] Hanihara T: "Metric dental variation of major human populations of the World"American Journal of Physical Anthropology. (In press).
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[Publications] Hanihara T: "Interpretation of craniofacial variation and diversification of East And Southeast Asians"Cambridge University Press. (In press).
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[Publications] 埴原 恒彦: "骨の辞典"朝倉書店. 465 (2004)