2002 Fiscal Year Annual Research Report
東アジアのイノシシ・ブタの遺伝的源流に位置するベトナムのイノシシ属の遺伝子調査
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14405028
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Research Institution | Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine |
Principal Investigator |
石黒 直隆 帯広畜産大学, 畜産学部, 助教授 (00109521)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本郷 一美 京都大学, 霊長類研究所, 助手 (20303919)
佐々木 基樹 帯広畜産大学, 畜産学部, 助手 (50332482)
岩佐 光啓 帯広畜産大学, 畜産学部, 教授 (00168551)
茂原 信生 京都大学, 霊長類研究所, 教授 (20049208)
遠藤 秀紀 国立科学博物館, 動物研究部, 研究官 (30249908)
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Keywords | イノシシ / ブタ / ベトナム / 遺伝子解析 / 系統解析 / 野生動物 / 家畜化 |
Research Abstract |
本海外学術調査は、ベトナムにおける野生イノシシとベトナム在来ブタの形態的計測と遺伝子解析を主な目的で行うものである。ベトナムにおける野生イノシシの生息数も極端に近年少なくなりつつあり、有用遺伝子資源の確保のためにも、野生イノシシの遺伝的な多洋性と変異の解析がいそがれていた。平成14年度は以下の日程で調査を行い多くの成果を得ることができた。1)調査の概要 調査期間:平成14年10月22日〜10月31日、調査に参加した研究者:石黒直隆、岩佐光啓、佐々木基樹、茂原信生、本郷一美、渡部琢磨、姉崎智子(上記2名は学振特別研究員で参加)、調査場所:ベトナムの西北部(ハノイから車で8時間ほどのサパ周辺)2)調査の成果 (1)形態的計測:現生の家畜ブタは大きく2種類に分類され、小さいのはミニブタに近く、ベトナムの在来家畜ブタと思われる。特にMeoと呼ばれるブタは広く飼育されていた。形態的に大きな家畜ブタは西洋系のランドレースを基本としたものが多かった。(2)遺伝学的解析:上記ベトナムの在来ブタの骨および肉片33サンプル、骨13サンプル、狩猟により得たと思われる野生イノシシの骨23サンプルを本調査で収集してミトコンドリアDNA574bpを解析した。その結果、これまでに得られているハプロタイプ以外に23種類の新たなハプロタイプを得ることができた。地方の農家で飼育されているベトナムの在来の家畜ブタは、系統樹上では東アジア系の家畜ブタのグループに属した。一方、各農家に展示され狩猟で得たと思われる野生イノシシはリュウキュウイノシシのグループに属した。このことは、ベトナムの野生イノシシの中には現在でも、リュウキュウイノシシに近い遺伝的なイノシシが生息していることを示しており、次年度の計画で調査を行う予定である。
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Research Products
(1 results)