2004 Fiscal Year Annual Research Report
湿地環境の維持を前提とした熱帯泥炭の持続的農業利用技術の構築
Project/Area Number |
14405034
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
渡邉 彰 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 助教授 (50231098)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山内 章 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 教授 (30230303)
安藤 豊 山形大学, 農学部, 教授 (90005661)
角田 憲一 山形大学, 農学部, 助教授 (70241726)
|
Keywords | 熱帯泥炭 / サゴヤシ / 国際研究者交流 / インドネシア / 微量窒素 / メタン発生 |
Research Abstract |
インドネシアの泥炭湿地において、樹幹部に多量の澱粉を蓄積する多年生木本植物サゴヤシの施肥反応、栽培に伴う土壌の持続的生産力への影響、周辺水系への養分の溶脱および大気への温室効果ガス(メタン、CO_2)発生に与える影響を調べた。また、室内モデル実験で施用微量元素の挙動を調べた。泥炭土壌はpHが低く、特定の養分可給度の低下が予想されたため、酸性矯正資材、養分の種類およびその量に関する施肥試験を行ったが、いずれもサゴヤシの樹高、葉数および葉中養分含有率を変化させなかった。多量養分の大量施肥を行った場合には、サゴヤシの地上部乾物重が増加したが、増加した器官は吸枝のみであった。吸枝は母本との間で栄養競合が生じるため適宜切除されるが、施肥による母本の生育改善には吸枝の適正な制御が重要と結論された。 微量元素は慣行量の10倍まで施用しても生長を改善できなかったが、実際にCuの98%以上、Feの94%以上が土壌に強く吸着され不可給化することがわかった。また、湛水条件を維持することで水溶性Fe、Mn、Zn量を1.5〜2倍に増大できることを示した。 開墾後6年までのサゴヤシ生育土壌と二次林土壌の物理・化学性を比較した。その結果、容積重、pH、全養分、交換態塩基および強複合態微量元素含量のいずれにも有意差は認められず、これまでのところサゴヤシ栽培は土壌の持続的生産力を低下させていないと推定された。 サゴヤシ栽培地からのメタンおよびCO_2発生速度は、地下水位の影響を受けず、-4〜17μgCm^<-2>h^<-1>、2〜25mgCm^<-2>h^<-1>の間で推移し、サゴヤシ林と二次林、異なる栽培年数、異なる施肥レベル間の差はいずれも有意ではなかった。排水および土壌水中の各種金属濃度に関しても、同様の比較において有意差は認められなかった。以上より、サゴヤシの施肥栽培を行っても数年の間には環境に与える負荷は増大しないと結論された。
|
Research Products
(1 results)