2002 Fiscal Year Annual Research Report
南極海の時系列現場観測による植物プランクトンと硫化ジメチル生成に関する研究
Project/Area Number |
14405038
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | National Institute of Polar Research |
Principal Investigator |
小達 恒夫 国立極地研究所, 研究系, 助教授 (60224250)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡邉 修一 海洋科学技術センター, 海洋観測研究部, 研究主幹 (00167131)
平譯 享 国立極地研究所, 南極圏環境モニタリング研究センター, 助手 (70311165)
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Keywords | 南極海 / 地球環境 / 時系列現場観測 / 温暖化関連ガス / 生物生産 / 硫化ジメチル / 国際研究者交流 / 日本南極地域観測隊 |
Research Abstract |
硫化ジメチル(DMS ; CH_3SCH_3)は、海洋植物プランクトン起源の主要なイオウ化合物であり、全地球的な気候変化に多大な影響を及ぼすと考えられている気体の一つである。大気中に放出されるとエアロゾルになり、雲核形成物質に変成し、雲の発生を促すことで、太陽エネルギーが地表へ届くのを妨げるため、温室効果を打ち消す効果がある。地表に到達する太陽エネルギーが低下すると、海洋植物プランクトンの生産量が小さくなるのでDMS生産量も小さくなり、エアロゾルも少なくなり雲の発生が少なくなり、地表への太陽エネルギーは大きくなる。すなわち、DMSは地球規模気候に対して負のフィードバックとして働いている。DMSの前駆物質であるジメチルスルフォニオプロピオネート(DMSP)は、海洋の植物プランクトンによって作られることが知られているが、この過程には不明な点が多く、生物海洋学研究者のみならず、化学海洋学研究者、さらには大気の研究者からも注目を浴びている。特に、夏季の極域海洋の氷縁域では、植物プランクトンの大増殖に伴い、DMS濃度が高くなることが知られてきた。本研究では、平成14年度から平成17年度の研究期間に、夏季の南極海において現場観測を行い、1)植物プランクトンの光合成過程とDMSPの生成過程、2)植物プランクトン組成とDMSPの生成過程、3)DMSP-DMSの変性過程を、平成14年度〜16年度の現場観測から明らかにする。 平成14年度には、当該補助金を基に東京水産大学「海鷹丸」の南極航海に研究分担者・平譯と研究協力者2名を派遣した。また、日本南極地域観測隊が傭船した「タンガロア号」には、研究分担者・平譯、及び研究協力者9名を派遣した。なお、研究代表者・小達は、「タンガロア号」のクルーズリーダーを務めた。これらの航海中に、上記の1)〜3)の課題を実施した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Odate, T., K.Furuya, M.Fukuchi: "Photosynthetic oxygen production and community respiration in the Indian sector of the Antarctic Ocean during austral summer"Polar Biology. 25. 859-864 (2002)
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[Publications] Odate, T., T.Hirawake, S.Kudoh, B.Klein, B.LeBlanc, M.Fukuchi: "Temporal and spatial patterns in the surface-water biomass of phytoplankton in the North Water"Deep-Sea Research II. 49. 4947-4958 (2002)
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[Publications] Nakayama N., S.Watanabe, S.Tsunogai: "Nitrogen, Oxygen and Argon Dissolved in the Northern North Pacific in Early Summer"J.Oceanogr.. 58. 775-785 (2002)
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[Publications] Yamamoto M., S.Watanabe, S.Tsunogai, M.Wakatsuchi: "Formation of Okhotsk Sea dense shelf water and its role in the North Pacific Intermediate Water, clarified with oxygen isotopes"Deep-Sea Research. 49. 1165-1174 (2002)
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[Publications] Kashino, Y, S.Kudoh, Y.Hayashi, Y.Suzuki, T.Odate, T.Hirawake, K.Satoh, M.Fukuchi: "Strategies of phytoplankton to perform effective photosynthesis in the North Water"Deep-Sea Research II. 49. 5049-5061 (2002)
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[Publications] Hirawake, T., S.Kudoh, S.Aoki, S.R.Rintoul: "Eddies revealed by SeaWiFS ocean color images in the Antarctic Divergence Zone near 140°E"Geophysical Research Letter. (in press). (2003)