2004 Fiscal Year Annual Research Report
先端情報技術を用いたモウコガゼルの越境移動経路の解明と生息環境のモニタリング
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14405039
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
恒川 篤史 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (60227452)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高槻 成紀 東京大学, 総合研究博物館, 助教授 (00124595)
篠田 雅人 東京都立大学, 理学研究科, 助教授 (30211957)
三浦 直子 (株)パスコ, 中央省庁事業部・技術部環境グループ, 技術者
伊藤 健彦 鳥取大学, 乾燥地研究センター, 非常勤職員講師
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Keywords | モウコガゼル / PTT / アルゴスシステム / 移動経路 / 長距離季節移動 / モンゴル / GPS首輪 / 植物生産力 |
Research Abstract |
平成14年および15年度にモンゴルで捕獲し、衛星追跡用送信機を装着したモウコガゼルは順調に追跡されており、初年度の移動経路データと同時期のTerra/MODISの正規化植生指数(NDVI)データおよび地理情報データを解析した結果、モンゴル草原を縦断する国際鉄道がモウコガゼルの移動の障害となっていることが示唆された(Conservation Biology誌に発表)。また、ガゼルの夏と冬の各生息地のNDVIの季節変化を比較した結果、モンゴル南部の比較的乾燥した地域では、各季節生息地間でNDVI値の季節的逆転現象が起こっており、ガゼルの季節移動とよく対応していることが明らかになった。しかし、やや湿潤な地域ではNDVIだけでは季節移動要因を完全には説明できなかったことから、季節移動要因の地域差の解明や、生息地評価指標としてNDVIの有効地域の特定の必要性などが示された。 また、ガゼルと家畜のヤギ・ヒツジおよびウマの食性を糞分析法によって比較した結果、ガゼルとヤギ・ヒツジの食性の類似度が高く、競合関係にある可能性が示唆された(Ecological Research誌に発表)。 平成16年夏には現地で広域に植生調査をおこなった。種組成、被度、群落高などから植生分類をおこない、利用地域と非利用地域および季節生息地間の環境の違いの解明を進めている。また、各地の気象局から気象データを購入し、季節移動と積雪の関係や、気象条件と植生の関係の解析も進めている。 平成16年10月にはモンゴルのウランバートルでモウコガゼルの保全と管理に関する国際シンポジウム・ワークショップが開催され、我々のグループも招聘された。モンゴル東部のステップを重点的に調査しているアメリカのグループとの協力関係や地域的な分担関係についての議論が交わされ、今後、積極的に協力してデータ収集・解析や論文執筆を進めていくことを申し合わせた。
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Research Products
(2 results)
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[Journal Article] Preliminary evidence of barrier effects of a railroad on the migration of Mongolian gazelles2005
Author(s)
Ito, T.Y., Miura, N., Lhagvasuren, B., Enkhbileg, B., Takatsuki, S., Tsunekawa, A., Jiang, Z.
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Journal Title
Conservation Biology 19・3(In press)
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