2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14510011
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
奥 雅博 大阪大学, 人間科学研究科, 教授 (20018641)
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Keywords | ウィトゲンシュタイン / 遺稿研究 / メタロジカル / 断片 |
Research Abstract |
ウィトゲンシュタインの中期の草稿に散見される「メタロジカル」という表現についてはかつてヒルミーが大胆な説を提唱したが、彼の主張の当否の検証は困難であった。これについて、データベースを駆使して網羅的に検討した。ヒルミーが主張するほどこの概念の射程は長くなく、カントの「超越論的論理学」でかなりの程度類推できる、という結論が得られた。成果をまず科学基礎論学会(平成16年6月20日 聖心女子大学)で口頭発表し、さらに大阪大学人間科学研究科紀要で論文として公表した。 2.永年検討を続けてきた『断片』を巡る問題について最終的な結論を得た。文献学的問題としては、編集の適否、出版の歴史的意義についてであるが、それ以外にも重要な知見をえることができた。即ち、『哲学探究』580節を行動主義に与する覚え書きとして読むことを控えさせるバージョンが存在すること、通説に反してTS230は『哲学探究』制作の折りに使用されていないことである。成果は、2004年8月8日-14日にオーストリアで開催された第27回国際ウィトゲンシュタインシンポジウムで、Some Remarks on the Editing and Publishing of Zettelと題して報告された。テキストの全文はExperience and Analysis Papers of the 27th International Symposium,264-265として公表されている。 3.TS228,TS233の覚え書きのルーツを示す対照表が完成した。対照表は研究成果報告書(冊子体)に印刷され、内外の研究者の研究基礎資料として配付される。なお、プライオリティーを保持した形で、インターネット下で公表することも計画中である。
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Research Products
(2 results)