2003 Fiscal Year Annual Research Report
『詩』解釈から見た『郭店村楚墓竹簡』と『戦国楚簡』の成立
Project/Area Number |
14510018
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
薮 敏裕 岩手大学, 教育学部, 教授 (20220212)
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Keywords | 郭店村楚墓竹簡 / 戦国楚簡 / 詩経 / 毛傅 / 毛序 |
Research Abstract |
清朝考証学を基礎としながら、詩の類型の比較検討、興の意味の確定、社会学・宗教学等の援用という方法を用いた『詩』の原初的意味の究明が近年著しく進展している。グラネを先鞭とし、以後これに続く聞一多・松本雅明・白川静・赤塚忠・家井真らの諸研究がこれである。これらの原初的意味がいつの時代のものであるのかと言う点については諸説あるが、魯頌・宮篇の「周公之孫、荘公之子」が魯の僖公(紀元前659-627)のことであることからすれば、頌の成立は前八世紀末から前六世紀初頭に及ぶといふことができる。すると、戦国期の成立と考えられる戦国楚竹書『孔子詩論』は、前六世紀初頭以降の成立と考えられる『詩』の原初的意味と、漢代以降の成立と考えられる『毛傳』『毛序』との中間に位置する可能性が高い。戦国楚竹書『孔子詩論』の詩理解が、詩の原初的意味や、『毛傳』『毛序』の詩理解とどのような関係にあるかを分析すれば、従来の文献のみを用いて行われてきた『詩』『詩経』の成立について研究を全面的に検討し直していくことができると期待される。つまり、詩の原初的意味、戦国楚竹書『孔子詩論』の詩理解、『毛傳』『毛序』等の文献資料の詩理解を中国古代文化のなかに正しく位置づけ意味づけることができると考えられる。 本年度も去年に引き続いて『孔子詩論』が引用する詩意と『毛傳』『毛序』の詩意を比較してきた。その結果『孔子詩論』と『毛傳』『毛序』の間にはかなりの差異があることが明らかになった。来年度にむけて、戦国楚竹書『孔子詩論』が引用する『詩』全体の解釈と『毛傳』『毛序』の『詩』の解釈との関係についてより詳細な検討を行いその思想史的な意味を検討する。
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