2005 Fiscal Year Annual Research Report
メギドにおけるVI層-AとV層-A-IV層-Bの年代決定についての研究
Project/Area Number |
14510037
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
越後屋 朗 同志社大学, 神学部, 教授 (80247791)
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Keywords | メギド / 古代イスラエル / 聖書 / 発掘 / 紀元前19世紀 / 地層 / 統一王国時代 / フィンケルシュタイン |
Research Abstract |
本研究の最終年度となる今年度は、1925年から1939年までシカゴ大学オリエント研究所によって行われたメギド発掘調査の、VI層に関する報告書(Timothy P.Harrison, Megiddo 3:Final Report on the Stratum VI Excavations [2004])の分析を中心的に行った。報告書は、VI層の年代を決定する上での新たな根拠を示すことなく、すでに出されてきた根拠に基づき、VI層がダビデ(紀元前11世紀)によって破壊されたと結論づけている。つまり、VI層-AとV層-A-IV層-Bに関して伝統的な年代説を支持する主張となっている(これについては、2005年11月開催のイスラエル考古学研究会で口頭発表)。しかし、VI層の陶器や建築様式が、Harrisonによる指摘のように、メギドにおいて少なくともイスラエル人、ペリシテ人、カナン人が共存していたことを示すとすると、ヘブライ語聖書の記述内容とは違うプロセスでイスラエルの統一王国が成立したことになる。これは新たな研究テーマとして検討すべき重要性を持っている。" また、メギドにおけるVI層-AとV層-A-IV層-Bの年代決定において重要な意味を持つ、イスラエル・フィンケルシュタインの主張する低年代説(Low Chronology)と伝統的な年代説(Traditional/Conventional Chronology)の比較研究を進めてきたが、ヘブライ大学のアミハイ・マザール教授が指摘する「修正された伝統的な年代説」(Modified Conventional Chronology)のように、単なる二者択一的な問題ではないことが明らかとなった。本研究のまとめは「研究成果報告書」と同志社大学神学部発行の「基督教研究」に発表される予定である。
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