2004 Fiscal Year Annual Research Report
近代フランス絵画に於けるキリスト教的インスピレーションの研究
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14510075
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
喜多崎 親 一橋大学, 大学院・言語社会研究科, 教授 (90204883)
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Keywords | 19世紀 / 美術 / 絵画 / 宗教画 / イコニック / ナラティヴ / 聖堂装飾 / 聖なるものの表象 |
Research Abstract |
3年計画の研究の第3年次である2004年度は、昨年度に続いて(1)文献資料の収集、(2)写真資料の収集と整理、(3)論文の執筆準備に当てられた。 (1)以下のものを中心にパリで行われた。 (1)1876年のモローのサロン出品作《出現》の同時代評 昨年同様パリの国立図書館のマイクロ資料を逐一閲覧し収集した。これらの内容はさらに吟味して、すでに発表しているこの作品に関する2本の研究論文「ギュスターヴ=モローの《出現》に就いて」(1993年)および「侵出するヴィジョン」(2002年)の改訂・補足を行いたい。 (2)1874年に美術総監フィリップ・ド・シュヌヴィエールによって提案されたサント・ジュヌヴィエーヴ聖堂(現パンテオン)の壁画についての資料。特に、コンセプトが記されたシュヌヴィエールの回想録、アプシスのモザイクの原案を担当したエルネスト・エベールに関する資料、19世紀末のフランスでのモザイク技法の復活に関する資料の入手につとめた。 (2)これまでの資料がかなりの数に上るため、新しい収集は上記パンテオンの壁画だけにとどめ、主にデータベース化への準備を始めた。まずこれまで収集されたアナログ形態のフィルム、写真、コピー等に関しては、試験的にスキャナーを用いた画像取り入れを行い、デジタル化の着手のための前提条件を整えることができた。また画像処理ソフトを用いることで、人工照明等悪条件のもとで撮られた写真であっても、かなり画質が改善されることも確認できたので、成果には期待が持てる。 (3)特にサント=ジュヌヴィエーヴ聖堂の壁画に関する論文執筆を予定していたが、当初の予想を超える量の資料と問題の拡大、および家庭内の事情により、執筆に至っていない。ただし内容に関しては一定の成果が上がっているので改めて「研究成果告書等」で触れることにする。
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Research Products
(3 results)