2002 Fiscal Year Annual Research Report
急性ストレスのコントロール可能性と細胞性免疫・液性免疫の変動
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14510096
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
大平 英樹 名古屋大学, 大学院・環境学研究科, 助教授 (90221837)
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Keywords | ストレス / コントロール / 免疫 |
Research Abstract |
今年度は,時間圧を伴う暗算課題におけるコントロール可能性を操作し,免疫系への影響を検討する実験研究を行った.被験者自身の成績が正確にフィードバックされるコントロール可能群と,ヨークトされた成績が被験者自身の実際の成績とは無関係にフィードバックされるコントロール不能群を設定し,15分の暗算課題を遂行させた.各群において課題開始前後で採血と唾液採取を行い,リンパ球サブセット数(CD3+,CD4+,CD8+,CD56+),ナチュラル・キラー(NK)細胞活性,唾液中分泌型免疫グロブリン(s-IgA)量を測定した.また課題期間中の心拍と血圧を連続測定した. 両群において,課題期間中に心拍・血圧が顕著に増加し,β,αアドレナリン作動性交感神経系の活性化が示唆された.また,両群においてCD56+(NK細胞),NK細胞活性,s-IgAの増加,CD4+リンパ球(ヘルパーT細胞)の減少という明瞭な免疫変動が観測された.各種免疫指標そのものには,直接コントロール可能性の効果はみられなかったが,自律神経系指標(心拍・血圧)と各種免疫指標間の相関が,コントロール不能群には顕著にみられるのに対し,コントロール可能群にはほとんどみられないという知見が得られた. 本研究により,急性ストレスのコントロール可能性という心理的要因が,実際に細胞性・液性免疫に影響することが明らかになった.コントロール不能事態で,なぜ自律神経系と免疫系の関連が強まるのかについて,既存のデータの追加分析,来年度に行う新たな実験を通じて,さらに検討する.
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