2002 Fiscal Year Annual Research Report
盲点における視覚的フィリングインの時空間的特性に関する研究
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14510100
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
中溝 幸夫 九州大学, 大学院・人間環境学研究院, 教授 (60036978)
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Keywords | 盲点 / フィリングイン / 知覚的補完 |
Research Abstract |
本研究は、盲点における視覚的フィリングイン(知覚的充填)の時間・空間的特性を心理物理学的方法を用いて調べることによって、脳による補完機能を解明することを目的にしている。今年度は、1)盲点領域を正確にマッピングする方法を確立すること、2)線分刺激を用いてフィリングインの時空間的特性を定量的に調べることが目的であった。1)の課題については、以下に述べる方法によって盲点のマッピングができることを確かめた。観察者は、点滅しながら単眼視野内を水平、垂直にスキャンする刺激光点が視野から消失(あるいは出現)した時点でキー押し反応を行なった。コンピュータはキー押し時点の光点の位置を記録し、位置の集合にもとづいて盲点領域がマップされた。11名の観察者について計測した結果、注視点を原点とする視野座標において、左眼盲点は(-16.9°、-1.9°)右眼盲点は(17.4°、-1.2°)であり、盲点の水平径と垂直径はそれぞれ左眼(7.1°、7.4°)右眼(6.5°、7.4°)であった。以上の計測法の妥当性を調べるため、盲点周辺のさまざまな位置に短時間提示された光点の検出率を調べた。直径0.2°の白色ドットを200msecランダムな位置に提示して、観察者は見えたか見えなかったかを口頭で答えた。各観察者は合計120試行を行ない、平均の検出率を算出した。その結果、盲点内部は0.026、盲点境界線上は0.683、盲点外部は0.966となり、計測法が妥当であることを示した。以上の盲点計測にもとづいて、フィリングインの実験を行なった。盲点の垂直径、水平径に一致するように盲点の両側に線分刺激を提示した。基準線分が盲点の反対側で同じ偏心度の網膜位置に提示された。実験の結果、フィリングインの異方性が確認された。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 中溝 幸夫: "ファントム立体視における輻輳情報を用いた奥行のスケーリング"VISI0N. 14(4). 165-168 (2002)
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[Publications] 東 巧, 中溝 幸夫: "眼球輻輳・開散と知覚された奥行量および方向の関係"基礎心理学研究. 21(2). 123-130 (2002)
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[Publications] Sachio Nakamizo: "Quantitative depth of a phantom surface as a function of converence"Asian Conference on Vision. 2. 24 (2002)