2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14510105
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
木村 英司 大阪府立大学, 総合科学部, 助教授 (80214865)
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Keywords | 空間的体制化 / 色覚 / 視覚情報処理 |
Research Abstract |
類似した性質をもつ要素を互いに関連づけて空間的にまとめ上げる空間的体制化の過程は、物体の知覚の基礎をなし、物体の検出・識別・同定に重要な役割を果たしている。本研究の目的は、この空間的体制化の過程に色度情報と輝度情報がどのように寄与しているのかを明らかにすることにある。 研究の初年度にあたる平成14年度には、研究用の刺激提示・反応測定システムを構築するとともに、空間的体制化における色情報処理と輝度情報処理の相互作用を解明するための実験を行った。具体的には、輝度をランダムに変えた要素の中に検査刺激を埋め込んだ条件(輝度ノイズ条件)と、色度をランダムに変えた要素の中に検査刺激を埋め込んだ条件(色度ノイズ条件)とを設け、輝度ノイズと色度ノイズが、輝度情報と色度情報に基づく空間的体制化にどのような影響を及ぼすのかを検討した。空間的体制化が生じているかどうかは、空間的に散らばっている要素をまとめ上げることにより初めて可能となる刺激の形状判断の成否により決定し、形状判断に必要とされる輝度差閾ないしは色度差閾を測定した。この実験の結果、輝度ノイズを加えることにより輝度情報に基づく空間的体制化は阻害されるが、色度情報による体制化はほとんど影響を受けないこと、そして、色度ノイズを加えると色度情報による体制化は阻害されるが、輝度情報による体制化はほとんど影響を受けないことが明らかとなった。以上から、本研究で用いた閾値近傍の条件下では、輝度情報と色度情報に基づく空間的体制化は、ほぼ独立になされると考えることができる。 なお、平成14年度に得られた成果は、日本心理学会第67回大会において発表する予定である。
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