2004 Fiscal Year Annual Research Report
発達障害を伴う弱視児の社会的行動の自発性促進に関する行動分析的研究
Project/Area Number |
14510121
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
加藤 元繁 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 助教授 (00114059)
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Keywords | 発達障害 / 弱視 / 社会的行動 / 応用行動分析 / 仲間媒介法 / 機会利用型指導法 |
Research Abstract |
視覚に障害のある児童・生徒は視覚的な対人刺激に制限があるため、要求行動や対人相互交渉などの社会的行動を自発するための動機づけに問題が多いことが指摘されてきた。しかし、欧米の盲学校を中心として進められてきた、いわゆる社会的スキル訓練(SST)は「型」としての社会的行動をディスクリートに形成するだけのものであり、発達障害を併せ持つ子どもたちの社会的行動の般化と維持に関して課題を残したままとなってきた。 本研究では視覚に障害のある、特に発達障害を併せ持つ弱視児に関して、盲学校に在籍する生徒1名の社会的行動の自発性を高めるために従来型の社会的スキル訓練を導入し、その効果を検討した。また、普通小学校の通常学級に在籍する生徒1名に関して、対物についての操作行動の自発性、すなわち自己充足行動について検討し、ここから対人行動、すなわち社会的行動の自発性との関連や機能の違いについて検討し、仲間媒介法と機会利用型指導法を基本とした応用行動分析学アプローチに基づく介入を行ったものである。 盲学校生徒への介入は一定の成果を確認することができたが、般化場面への検討に問題が残った。普通小学校通常学級に在籍する生徒に関しては、保護者の無理解や無知識による子育ての失敗や、通常学級担任の指導技術の無さなどの理由から、対象児の対物の自己充足行動が強固に形成されており、他者とのやりとりへの自発性が著しく阻害されていたのに対し、本介入プログラムは自発性の促進効果を示した。盲学校在籍児はもとより、通常が旧在籍児童・生徒に対しても、ただ同じ空間に居るだけで、社会的行動への特別支援教育の配慮がなされていないのが現状で、より早期からの支援計画の必要性が示唆された。
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