2005 Fiscal Year Annual Research Report
素朴生物学と素朴心理学の境界領域における現象・特性についての幼児の理解
Project/Area Number |
14510124
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
稲垣 佳世子 千葉大学, 教育学部, 教授 (90090290)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
波多野 誼余夫 放送大学, 教養学部, 教授 (60049575)
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Keywords | 素朴生物学 / 素朴心理学 / 心因性身体現象 / 病気の回復 / 概念発達 |
Research Abstract |
素朴生物学と素朴心理学の境界領域に関わる諸現象を幼児がいかに理解しているかを調べるために、本年度は、心と身体の境界領域に直接関わる、心因性の身体現象について幼児や児童が理解しているかを調べる実験を中心におこなった。ネガティブな心の状態が原因で、悪い身体症状が生じることがあることを理解しているかを調べるために、5歳児と小学2年生を対象に、「心因性項目」(心配事があるとお腹が痛くなる、恥ずかしいと顔が赤くなる等)、「心理的項目」(心配事があると爪をかむ、不安でびくびくすると足をゆする等)、「身体的項目(腐ったりんごを食べるとお腹が痛くなる、食べ過ぎると吐いてしまう等)、各4項目について質問した。さらに、ポジティブな心の状態が原因で、病気の回復が早くなると考えているかを調べる項目(楽しいことばかり考える子どもとくよくよしてばかりいる子どもではどちらが病気の回復が早いか等)も4項目加えた。 その結果、(1)ネガティブな心の状態が原因で、無意識に振る舞いが表れること(「心理的項目」への反応)や身体的に悪いことをしたことが原因で、身体に悪い症状が表れること(「身体的項目」への反応)は、小学生だけでなく、幼児でもよく理解していたが、心因性のことが原因で悪い身体症状が表れることについての理解は低かった。5歳児、小学生ともに55%前後の正答率であり、チャンスレベルに近いものであった。(2)ポジティブな心の状態の方がネガティブな心の状態より病気の回復を早めるという考え方は、幼児、小学生ともに強く、大部分の者がこのように考えていた。
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