2003 Fiscal Year Annual Research Report
「活性化」概念を利用した記憶定着メカニズムの学際的検討とCAIへの応用
Project/Area Number |
14510130
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
水野 りか 中部大学, 人文学部, 教授 (00239253)
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Keywords | 処理水準説 / 再活性化説 / 活性化 / 維持リハーサル / 精緻化リハーサル / 改良Low-First方式 / CAI / メタ認知 |
Research Abstract |
1.形態・音韻・意味処理,及び,2種のリハーサルの再生率の違いの再活性化説による説明可能性の検討 従来処理水準説で説明されてきた上記2種の記憶定着メカニズムが,再活性化説(水野,1998)でより合理的に説明可能であることを学際的方法で検証した。 (1)同一処理を反復した際の再生率は処理水準説では上昇しないとされてきたが,再活性化説では上昇すると予想された。水野(2003b;2004a-次頁掲載順にalphabet添付)は,再生率が反復で上昇し再活性化量と相関することを明らかにし,再活性化説の優位性を検証した。 (2)意味→形態,形態→意味と異なる処理を異なる順序で反復した際の再生率は,処理水準説では等しいとされてきたが,再活性化説では後者の方が高いと予想された。水野(2003c,2004d)は後者の方が再生率が高いことを,水野(2003d,2004b)はその再生率が再活性化量から推定しうることを示し,再活性化説の優位性を検証した。 (3)維持・精緻化リハーサル中の記憶活性度の変化を測定し,前者では概念の最大活性化量・再活性化量が少なく伝播も生じないが,後者では最大活性化量・再活性化量ともに多く,伝播が関連概念に集中的に生じることを明らかにし,両者の違いが深さよりも再活性化量でより具体的に説明可能であることを示した(水野,2004c)。 2.改良Low-First方式のCAIでのマルチメディア・フィードバックの効果の実践的検討 再活性化説から導かれた改良Low-First方式のCAI(水野,2002)は,効果的だが習得状況のメタ認知が難しく,学習しにくいと評価されていた。水野(2003a,e),Mizuno(2004)は,習得状況がわかるマルチメディア・フィードバックを考案し・追加し,このCAIの学習しやすさのみならず,効果・効率をもさらに高めることに成功した。
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Research Products
(12 results)
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[Publications] 水野りか: "分散学習用CAIでのマスタリ・フィードバックの効果"日本教育工学雑誌. 27・2. 135-142 (2003)
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[Publications] 水野りか: "処理水準の再活性化量による説明可能性のシミュレーションによる検討"日本認知科学会第20回大会発表論文集. 88-89 (2003)
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[Publications] 水野りか: "処理による再生率の違いの説明-処理水準説vs.再活性化説-"日本心理学会第67回大会発表論文集. 805 (2003)
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[Publications] 水野りか: "処理による再生率の違いの再活性化モデルでの再現"日本認知心理学会第1回大会発表論文集. 130-131 (2003)
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[Publications] 水野りか: "改良Low-First方式のCAIでのアテインメント・フィードバックの効果"日本教育心理学会第45回総会発表論文集. 68 (2003)
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[Publications] Mizuno, R.: "The Application of Cognitive Scientific Findings Related to Spacing Effects to Web-Based CAI Systems"Proceedings of the Joint Workshop of Cognition and Learning through Media-Communication for Advanced e-Learning. 128-133 (2003)
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[Publications] Mizuno, R.: "The Effect of Mastery Feedback Appended to a CAI System for Spaced Learning"Educational Technology Research. 27・(1・2)(印刷中). (2004)
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[Publications] 水野りか: "処理水準の再活性化説による説明可能性の実験的検討"教育心理学研究. 52・1(印刷中). (2004)
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[Publications] 水野りか: "処理順序による再生率の違いの再活性化モデルでの再現"日本認知科学会第21回大会発表論文集. (発表予定). (2004)
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[Publications] 水野りか: "維持・精緻化リハーサル中の記憶活性度の変化の実験的検討"日本認知心理学会第2回大会発表論文集. (発表予定). (2004)
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[Publications] 水野りか: "処理順序による再生率の違いの予想と検証-処理水準説vs.再活性化説-"日本心理学会第68回大会発表論文集. (発表予定). (2004)
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[Publications] 水野りか: "心理学的知見に基づいたe-Learningシステムの構築とその効果・評価の教育実践での検討"日本教育心理学会第46回総会発表論文集. (発表予定). (2004)