2002 Fiscal Year Annual Research Report
集団間援助・協力過程での相互作用展開:社会的認知過程の分析とその妥当性の検討
Project/Area Number |
14510131
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
唐沢 かおり 名古屋大学, 大学院・環境学研究科, 助教授 (50249348)
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Keywords | 集団間支援 / 責任帰属 / 仮想世界ゲーム / ステレオタイプ / 自動的過程 |
Research Abstract |
仮想世界ゲームを用いた、援助・協力の規定要因分析と集団間関係展開過程の分析 仮想世界ゲームを用いて、ゲーム内で生起した出来事に関する記憶、外集団に対する認知、援助を必要とする事態に関する責任帰属、援助・協力意図と実際の協力行動との関係について検討した。その結果、ゲーム内での他集団との相互作用に関する記憶が弱く、また個人差が大きいにもかかわらず、他集団に対して抱く態度は極化し、同一集団内では一貫性が高いことが示唆された。このような記憶と態度との関係の背景には、外集団との相互作用という「出来事」ペースではなく、内集団の他メンバーとのコミュニケーションを基盤にした認知の「共有」過程があり、いったん共有された認知が個人の他集団への判断や行動意図に影響を与えている可能性が示された。 基礎的な社会的認知過程の実験的検討 集団間相互作用場面でもっとも問題になることのひとつが「集団ステレオタイプ」である。近年特に、認知者が意識的に行う判断の背後にある「統制的過程」だけではなく、意識しないうちにステレオタイプが起動し判断に適用される「自動的過程」が問題とされている。他集団に対する偏見的な行動を提言させたり、協力的行動を促進するためには、単に統制的過程において「ステレオタイプ的判断を行わないように注意する」だけではなく、自動的過程を抑制する必要が議論されている。本研究では、ステレオタイプの自動的な活性抑制の可能性について、「平等主義的目標の活性」と「ネガティブなステレオタイプ連合に対する罰の提示」の2つの操作の影響を中心に、実験的に検討した。その結果、平等主義的目標の活性は自動的なステレオタイプ活性を抑制する効果が認められなかったが、罰の提示は活性を抑制することが示され、他集団に対するネガティブな表象の連合強度そのものを提言することの必要が示唆された。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Karasawa, K: "Responsibility attribution and support provision in an intergroup context : An examination in a simulated society game"Japanese Psychological Research. 44. 196-208 (2002)
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[Publications] Karasawa, K: "Interpersonal reaction toward depression and anger"Cognition and Emotion. 17. 123-128 (2003)