2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14510154
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
田嶌 誠一 九州大学, 大学院・人間環境学研究院, 教授 (70163459)
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Keywords | イメージ体験 / 心理療法 / 体験様式 / 身体 / 病態水準 |
Research Abstract |
イメージ療法を適用したさまざまな事例を分析し、病理の重篤度(病態水準)に応じた治癒過程の特徴を明らかにした。【対象と方法】報告者が壷イメージ法(田嶌,1987,1997)を適用した事例の面接過程を、以下の方法で分析した。【データの分析】まず、報告社が壷イメージ法を適用した事例を米国精神医学会の診断基準DSM-IV(1994)によって、健康水準、神経症水準、境界例水準、精神病水準に分類し、次いで報告者の「イメージ体験様式理論」に基づいて作成された「イメージ体験評定尺度」による評定と分析を行った。 神経症水準や健常水準の事例では、いずれにおいても報告者のいうイメージ拒否・拘束、イメージ観察、イメージ直面、イメージ体験、イメージ受容というイメージ体験様式の変化過程を経ていることが確認された。また、神経症水準の事例で10数回〜数十回で起こったのと同様の過程が、健常水準の事例では1回〜数回で生じているという違いがあることも明かになった。それに対して、境界例や精神病水準の事例では、このような過程は部分的には生じるものの、十分に体験するのではなく、体験から距離をとる過程が必要であることが明らかになった。 さらに、イメージ体験には拡がりの次元と深まりの次元とがあることを論じた。イメージ体験の拡がり次元には「個人内イメージ」「個人間共有イメージ」「集団共有イメージ」「共同体共有イメージ」とがあり、イメージ体験の深まり次元は(1)現実感覚的身体、(2)主観感覚的身体(3)トランスパーソナル身体というそれぞれ性質の異なる三種の身体とそれに伴うイメージと実感が重要であることを論じた。
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Research Products
(2 results)