2004 Fiscal Year Annual Research Report
協同構成課題における思考と動作のリズム特性と認知-情動の影響過程に関する実証研究
Project/Area Number |
14510155
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
藤田 豊 熊本大学, 教育学部, 助教授 (60238590)
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Keywords | 協同構成過程 / peer tutoring / リズム構造 / 相互交渉リズム / 行為化と理解 / 認知と情動 / 折り紙課題 |
Research Abstract |
本研究の目的は,幼児期の子どもを対象に思考と動作のリズム性を明らかにし,それらをベースにした他者との協同構成プロセスを認知と情動の側面から明らかにすることである。平成16年度は,最終年度として大人-子どもの関係から子ども同士の関係(peer interactionとpeer tutoring)へ相互交渉リズムの視点を移し,それが課題構造の持つ認知的リズムとどのように影響し合うのかという問題について,課題遂行中の認知-情動過程の影響も含めて検討することを主な目的とした。具体的には(1)課題(H.15年度の「機織り課題」)の持つリズム構造(交互,逆交互,循環)とそれを子ども同士協同で遂行(行為化)する相互交渉リズムとの関係について,(2)折り紙課題を用いた幼児同士(年長-年中,年長-年少)の教え-学び合うpeer tutoringにおける認知-情動の影響過程について,検討した。その結果,(1)については,3種類のリズム構造を理解するための2種類の行為化(対象操作と自体操作)によって4,5,6歳児の理解度は向上したが,行為化を一人で行う条件と二人で行うペア条件との間には有意な差は見られなかった。しかし,ペア条件の中にも,どちらが課題遂行のイニシャチブをとっているかによって理解度に大きな差が見られた。(2)については,年長児に折り紙の折り方を教える教授者の役割を持たせて各自の教授スタイルを同定した後,そのスタイルの違いによって,学習者が年中児もしくは年少児の場合,試行回数や課題の難易度に応じて教授方法と内容がどのように変化したかを分析した。現在は,教授者に対して準備セッションで課題構造と教授方法について十分にトレーニングする条件としない条件を設定し,課題構造と教授方法の理解度に伴う情動的負荷の差異が,peer tutoringのプロセスにどのように影響するかについて分析中である。
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Research Products
(2 results)