2002 Fiscal Year Annual Research Report
適応的熟達化の諸原理にもとづく理数科の教育活動の組織化とその効果
Project/Area Number |
14510165
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Research Institution | The Open University of Japan |
Principal Investigator |
波多野 誼余夫 放送大学, 教養学部, 教授 (60049575)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森田 英嗣 大阪教育大学, 教育実践研究指導センター, 助教授 (50200415)
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Keywords | 適応的知識 / 対応的熟達化 / 分数学習 / 動機づけ / 動物の進化 / 素朴生物学 |
Research Abstract |
本年度は、主として数学および科学における成功した学習者の持つ適応的知識を識別するための測定項目の作成と、適応的熟達化の諸原理にもとづく理数科の教育活動の組織化のための情報収集を行なった。 1。分数について未習の小学校5年生2クラスを対象に、彼らが分数をいかに概念化しているか、それにより分数の四則計算にどのような方略を用いるかを調査し、学習の初期状態を明らかにした。 2。分数学習の際、生活的な文脈への関連づけを計る型の授業、もっぱら算数の世界の内部ではあるが、概念と手続きの関連づけを促進する型の授業などを文献調査および直接観察により比較検討し、これを参考に、適応的熟達化の認知的および動機づけ的諸原理に基づき、分数についての「適応的」知識を獲得させる教育課程を構成した。 3。1と同様な手続きを、同じく小学校5年生4クラスに対し、動物の進化について進めた。幼児の素朴生物学に関する知見から、子どもは生物学的現象に対し、目的論的、生気論的、本質論的因果を用いると想定し、これにより進化のどのような側面が理解されやすいか(動物の身体の構造や機能はその生態学的環境に適合するよう少しずつ変化する、など)、どのような側面が理解困難であるか(突然変異と適者生存の原理により新しい種の動物が生まれる、など)を予測し、ほぼそれを確認した。 4。小学校5年生を対象に、短期間の介入を行い、学んだ内容の記憶と運用、学んでいないテスト項目への適用などを観察し、この題材における適応的熟達化がいかなるものであうるかを検討した。
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