2004 Fiscal Year Annual Research Report
適応的熟達化の諸原理にもとづく理数科の教育活動の組織化とその効果
Project/Area Number |
14510165
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Research Institution | The Open University of Japan |
Principal Investigator |
波多野 誼余夫 放送大学, 教養学部, 教授 (60049575)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森田 英嗣 大阪教育大学, 教育実践研究指導センター, 助教授 (50200415)
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Keywords | 進化の理解 / 概念変化 / 適応的熟達化 / 文化心理学 |
Research Abstract |
1。動物進化について未習の小学生5年生がヒトやサルという種の出現をいかに概念化しているか、突然変異と生態学的環境への適応というメカニズムをどのように理解しているかを調査した昨年度の結果などに基づき、適応的熟達化の認知的および動機づけを的諸原理に基づく短期の介入により彼らの理解がどのように質的に変化するかを検討した。介入の認知的基盤としては、子どもが持つ素朴生物学的因果を拡張すること、とくに新しい種の出現を小さな変異の長期にわたる累積により説明するところに焦点をあてた。予備的な分析によると、生態学的環境への適応に関しては抵抗なく受け入れられるが、それに先立ってまったく偶然に変異が生じる点に関しては、ほとんど進歩が認められない。 2。7月の国際行動発達研究学会の大会での熟達化についての招待講演、また8月の国際心理学会議での学習メカニズムについての招待シンポジアムなどを通じて、これまでの研究成果の集大成と理論的深化を試みた。とくに、文化心理学的観点からの実践参加のもたらす効果と、それを制約する生得的原則や先行知識の役割の関係についての定式化に前進があった。また、自生的かつゆっくりと進行する日常的認知分野での熟達化と、意図的・意識的に急激な再体制化が生じる学術的場面での熟達化の共通点と相違点についての理論化も前進しつつある。 3。大学生、大学院生を対象とする文化心理学の授業を適応的熟達化の諸原理にもとづいて組織化する試みを展開した。
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