Research Abstract |
本研究は,子どもの発達への親の影響についての理論の中で近年問題にされている,いわゆる`世代間伝達仮説'(親がどのように育てられたかが,自分が親になった際の養育行動に影響するという仮説)を検討するものである. 本研究は,この仮説を,3歳から小学2年生まで,子どもとその両親そして,環境要因を視野に入れながら,愛着と人間関係を中心にした縦断研究によって検討することを目的としている.研究の対象はすでに3歳から人間関係の発達を中心に追跡している子ども85名とその父母である。 今年度は,もっとも幼い子どもが6歳に達したことから,(1)6歳時調査の終結,(2)1年生の親子調査,(3)2年生の親子調査,の3種の縦断研究的調査・実験を実施した.6歳時では,子どもの測定(愛着,人間関係,認知発達),母親の愛着,父母の養育行動,人間関係などについての個別面接を継続して実施した(20名).さらに,本年度4月に入学した30名と2年生になった25名については,(1)新学期の郵送調査(母親を対象に子どもの小学校生活の様子,両親の状態,さらに,ライフ・イベントについての調査)と(2)6か月後の面接調査(子どもの人間関係の測定,子どもの小学校生活についての適応,両親の子どもの学校生活についての態度,両親の小学校時代の親についての面接,母子交渉の実験的観察)を行った. さらに,本年度は資料の全体的な分析を進め,論文作成の準備にとりかかった.その成果を国内外の学会で報告するとともに,理論的な論文を発表した.
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