2003 Fiscal Year Annual Research Report
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14510171
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
越川 房子 早稲田大学, 文学部, 教授 (80234748)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石川 利江 桜美林大学, 大学院・国際学研究科, 助教授 (20222979)
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Keywords | 無我 / 心理学的構造 / 只観法(自律法) / 評価・判断の停止 / 唾液中IgA濃度 / 唾液中コルチゾール濃度 / 心理検査の開発 / 心理的介入 |
Research Abstract |
本年度(H15)の目的は、(1)「無我」と呼ばれてきた概念の心理単的構造を検討するための質問紙を開発することと、(2)「無我」の状態と関連が深い「只観法(以前は自観法と呼称)」という技法の効果を検討することであった。この技法は、現象に対する評価・判断を停止するメタ認知を用いている点で、これまでの欧米のセルフ・モデリング技法とは一線を画すものである。今年度の成果は以下の2点である。 (1)「無我」という概念と関係すると考えられる、認知(物事のとらえ方)、行動、感情を表現する約120項目を、臨済宗(禅宗)の学僧である花園大学学長・西村惠信先生の協力を得て作成した。この項目を大学生約540名に実施し、「無常観の獲得」「他人との比較からの開放」「自他の尊重」「今ここでの受容」「自己理解」の5因子を抽出した。特に第1因子と第2因子は、従来の自己自知に関する尺度や自尊感情尺度では十分に捉えられていない特性であると考えられる。また、再テスト法による信頼性、内的整合性係数による信頼性を算出するとともに、因子的妥当性を含む内容的妥当性を検討し、自己実現傾向、自己受容との関連を探ることにより基準関連妥当性を検討した。さらに自尊感情、反芻傾向、向社会的行動、特性不安、不合理な信念、ストレス対処方略との関連を探ることにより、構成概念妥当性を検討した。分析結果から「無我特性尺度(仮題)」はかなり高い信頼性と妥当性を備えているといえる。 (2)「無我」の状態と関連が深い「只観法」にアテンション・シフトの手続きを加えて、そのストレス減少効果を生理的指標を含めて検討した。被験者は20名、コントロール条件と技法条件の被験者内計画とした。その結果、「POMSの平均得点」「主観的不快感の程度」「心拍」に技法の効果が示唆されたが、唾液中の免疫関連指標であるIgA濃度とコルチゾール濃度には効果が認められなかった。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 越川 房子: "不安とどうつきあうか"教育と医学. 52(3)(印刷中). (2004)
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[Publications] Fusako Koshikawa et al.: "Effectiveness of the Jikan-ho in Reducing Stress and Increasing Accessibility of Positive Memories. In "The Relevance of the Wisdom Traditions"."Delft : Eburon (in press). (2004)