2003 Fiscal Year Annual Research Report
ロールシャッハ法を活用した子どものメンタルヘルス支援に関する系統的研究
Project/Area Number |
14510172
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Research Institution | Kinjo Gakuin University |
Principal Investigator |
松本 真理子 金城学院大学, 人間科学部, 助教授 (80229575)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 英夫 東海大学, 医学部, 助教授 (90199886)
村上 隆 名古屋大学, 大学院・教育発達科学研究科, 教授 (70093078)
栗本 英和 名古屋大学, 大学院・情報科学研究科, 助教授 (40144125)
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Keywords | ロールシャッハ法 / 子ども / 情報技術 / メンタルヘルス / 簡易型ロールシャッハ法 |
Research Abstract |
1.簡易型ロールシャッハ法の開発-ロールシャッハ図版を用いた心の健康診断システムの開発- 前年度の研究成果に基づき、対人関係査定を中心とした心の健康診断システムの開発および試行調査を行った。 (1)方法 簡易型ロールシャッハ法(C-Ror.)の作成 図版II・III・VIIの3枚を採用した。学校現場で集団を対象に簡便かつ短時間で施行できることを目指し、各図版ごとに「何に見えるか」を記入し、見える範囲を囲むよう教示した。 対象 被検者は静岡県浜松市内の公立中学校2年生200名(男子104名、女子96名)を対象とした。 方法 心の健康質問票(無藤2002)とC-Ror.を同時に配布、実施した。その際、個人の情報が外部に流出することはないことを事前に文書と口頭で説明し同意を得た。実施日時は2003年6月5日の50分間であった。 (2)結果 主成分分析の結果、男女ともに「対人関係」と「感情』に関する主成分から成ることが明らかになった。男子においては、健康調査票との関連から感情表出において問題を抱える者は、食や身体に関連する間題を生じやすく、また友人や家族関係においても問題が生じる可能性が高い、などが示された。女子においては肯定的感情の低い者は現在の自己の調子も低く感じ、積極的対人関係に問題を抱える者は友人関係における不適応を生じやすい、などが示された。 2.子どものメンタルヘルス支援に関する海外事情 フィンランドにおけるメンタルヘルス支援について、査定システムを中心に情報収集を行った。その結果、就学前の子どもに対するメンタルヘルス支援システムの充実が明らかになった。 3.今後の展開 C-Ror.の精度を高め標準データを集積すること、および国際比較を通したわが国におけるメンタルヘルス支援システムのあり方について研究を深める予定である。
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[Publications] 松本 真理子: "ロールシャッハ法からみた日本人健常児童の人格特徴-発達的視点を中心に-"児童青年精神医学とその近接領域. 43・4. 428-442 (2002)
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[Publications] 松本真理子, 栗本英和, 村上圭一: "情報技術を活用したロールシャッハ法の解析、解釈支援およびデータ集積システムに関する研究"ロールシャッハ法研究. 6. 51-62 (2002)
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[Publications] MATSUMOTO.Mariko, SUZUKI Nobuko, SHIRAI Hiromi et al.: "Japanese Nonpatient Children in the Rorschach Test : An International Comparison"Japanese Journal of Child and Adolescent Psychiatry. 43 Supplement. 1-16 (2002)
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[Publications] 栗本英和, 松本真理子, 酒井一成: "心理検査における情報技術の利治用に関する研究"日本心理学会第67回大会発表. (2003)
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[Publications] 栗本英和, 松本真理子: "ロールシャッハ図版の刺激特性に関する研究-簡便型ロールシャッハ法作成の研究"日本心理学会第68回大会. (発表予定). (2004)
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[Publications] 松本真理子: "子どものロールシャッハ法に関する研究-新たな意義の構築に向けて-"風間書房. 194 (2003)