2004 Fiscal Year Annual Research Report
農村高齢者の生活補完に対する村落組織の再編に関する実証的研究
Project/Area Number |
14510184
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Research Institution | HOKKAIDO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
松岡 昌則 北海道大学, 大学院・文学研究科, 教授 (70111242)
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Keywords | 農村高齢者 / 生きがい / 生活互助 / 村落 / 日常的社会関係 / 福祉資源 |
Research Abstract |
秋田県山本郡藤里町米田地区の事例研究である。現在の米田地区の高齢者は、日常の、そして緊急の、さらには困ったときのネットッワークを、親戚や近隣から自治体内・近隣市町村まではりめぐらせている。しかしそうした高齢者の生活の補完は、どうしても個人のもっている資源に規定され、格差を生じさせている。したがってこれからの高齢者福祉に対しては、個人のもつ私的ネットワークへの過度な期待や依存ではなく、住民の組織的な対応が必要となってきていると思われる。 米田地区の場合、まだ集落や地区としての組織的対応はとられていないが、人間関係やまとまりに住み心地のよさを感じ、現状での安心があるように見受けられる。それは集落と地区住民の連帯性、共同社会性に支えられていることによるようである。 米田地区には住民を結集させるさまざまな行事がある。そして日常交際の濃密さがある。家のなかで酒を呑む機会が少なくなった寂しさが語られるが、日常では決して孤立はしていない。他方、村落の社会関係は双務的互恵的である。一方的な援助が重荷になることもあろう。そこに生活の場を共有する仲間としての共通の安心のための協働的対応が求められるわけであるが、やはり村落組織・集団としての今日的な対応を模索するしかないであろう。高齢者に対して、さまざまな福祉施策と活動が展開していることは望ましいとしても、毎日、いつでもという場合、村落のもっている共同社会性をいかしながら、村落組織を現代的に組み替える必要を感じる。みんなで決めたこととして、村落組織が相互に連携・調整をはかりつつ、生活保障の外枠として村落が機能し、共同社会性が維持されることが望ましい。それは個人的な行き来や社会関係の延長に位置する的対応と組織的対応の融合を意味し、生活をお互いに補完しあうシステムとして定着することができるであろう。
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Research Products
(1 results)