2002 Fiscal Year Annual Research Report
IT化が進む現代日本における地域情報ネットワークの社会的構造に関する研究
Project/Area Number |
14510197
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
城戸 秀之 鹿児島大学, 法文学部, 助教授 (00204933)
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Keywords | 地域情報化 / 情報化社会 |
Research Abstract |
1.今年度は大分県のブロードバンドネットワーク「豊の国ハイパーネットワーク」の構築に焦点を合わせて調査を行い、以下のような知見を得た。 2.大分県では政府の整備事業を活用して地域内のネットワーク基盤整備をおこなっている。これは行政ネットワークとして、県庁舎と県の振興局、その他の県施設を光ファイバーで結ぶものだが、このとき、ネットワークの構築にあたって、県の振興局を単位とした市町村グループとともに県が事業体を作って補助金事業を行なっている。これによって、行政レベルだが県内の情報格差を面的に解消するだけでなく、情報基盤を県内各地の事情に合わせてケーブルテレビなど多様な形態で整備することを可能にしている点が特徴的である。これによって、地域間の相違(地形、人口、利用状況等)を地域自身が考慮することによって、自分の課題として情報化を市町村がとらえる契機ともなりうると考えられる。 4.大分県では2001年までパソコン通信を利用して公共情報ネットワーク「豊の国情報ネットワーク」を運用し行政にとどまらない県民への公共的情報を行っていたが、新ネットワークは行政ネットワークとして基盤整備を進める一方で、この公共情報ネットワークを継承し、県民向けの情報利用の促進をひとつの目的としている。整備途中であるが、生涯教育関係分野では、他の情報化補助金と結びつけてインターネットを利用した情報提供を新たにおこない、新たな利用者を獲得している。 5.市町村の先進事例として臼杵市のケーブルテレビがあるが、ネットワークユーザが増加した一方で、それがただちに新しい地域活動や認識を生み出すものとはなっていない。地域住民と新ネットワークとの関係については今後の調査の課題となる。
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