2002 Fiscal Year Annual Research Report
超高齢化山村における福祉ニーズの構造と地域福祉システムの特性に関する調査研究
Project/Area Number |
14510200
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Research Institution | Iwate Prefectural University |
Principal Investigator |
佐藤 嘉夫 岩手県立大学, 社会福祉学部, 教授 (20073033)
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Keywords | 超高齢化社会 / 地域共同 / 拡大家族 / 地域福祉システム / 集落変動 |
Research Abstract |
14年度の研究課題のテーマの一つである「中山間地域の地域特性に関するデータ分析はについてはデータ入力作業まで行った。それとは別に、超高齢中山間地の特性について、主として島根県邑智郡との比較検討を行った。そこで得た知見は以下の通りである。産業が疲弊し、財政力が低下している中山間地域では、公的福祉システムを支えるサブシステムが極めて重要な位置を占めている。このシステムは三重層を成している。その1つは家族生活のレベルにおける、「他出」した子と中山間地域に残存している高齢者とのあいだに成立している「拡大修正家族」の機能である。第2は近隣・親族によるパーソナルネットワークの機能であり、第3は各種の任意的な団体・グループなどによる自助的、互助的、社会貢献的活動の仕組みである。これらのサブシステムの機能と特質はまさに、地域の特性と住民の主体性に条件付けられたものである。 島根は、積雪が少なく瀬戸内諸都市との往来もあり、老親と他出子、農村と都市との交流が比較的容易であるが、集落が分散・散居(孤立)していて限界集落が多く見られる。それに対して東北では、血族・集居方の集落が一般的で、地域相互扶助が強くみられるが、気候や産業、生計維持などの面で厳しいという特徴が見られる。 また、第2の研究の柱である「生活の共同性と地域変動に関する調査」は、町内30の行政地区を対象に、集落毎の福祉ニーズ、福祉ニーズの充足と共同生活維持のための事業、作業活動の種類と内容、地域社会の変容、高齢者の冬期「出暮らし」や空家の状況など詳細な調査を行った。(訪問面接)。その中の一つについて(八町自治会)、集落の生活・福祉課題の変遷とそれへの自治会の対応について詳細なヒアリング調査を実施した。尚、老親と町外他出子との間に成立する拡大家族の機能とその変化についての、インティンシブな事例調査については継続中である。
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