2004 Fiscal Year Annual Research Report
超高齢化山村における福祉ニーズの構造と地域福祉システムの特性に関する調査研究
Project/Area Number |
14510200
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Research Institution | Iwate Prefectural University |
Principal Investigator |
佐藤 嘉夫 岩手県立大学, 社会福祉学部, 教授 (20073033)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浜岡 政好 佛教大学, 社会学部, 教授 (80066422)
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Keywords | 超高齢化山村 / 一人暮らし高齢者 / 出暮らし / 地域福祉システム |
Research Abstract |
高齢化率49%に達した金山町の福祉ニーズの特性はなんといっても急速に進む小世帯化とその中での高齢者のみの世帯化の極度の進行にある。その中でも高齢者のいる世帯に占める一人暮らし高齢者世帯の25%にも上る、高い単身化の進行は、過疎・高齢化・豪雪地域の集落機能の著しい低下という厳しい生活条件の中で、極めて緊急的な福祉ニーズであると同時に、そのニーズへの対応は、金山町のような「限界集落」を抱えた山村地域における地域福祉システムのセイフテイ・ネットとしての機能の存在理由が問われる試金石でもある。 本年度は、こうした観点にたって、研究の集約的なテーマとして、ひとり暮らし高齢者世帯の生活と福祉ニーズに関する詳細な面接調査を実施した。一人暮らしの198世帯の2分の一のサンプル107抽出した。有効回答数は66、調査不能29、調査対象外10、拒否1、不明1であった。特徴的であったのは、なんといっても調査不能のうちの冬季間における町外に他出した子供世帯への「出暮らし」が20世帯と際立っていたことである。「出暮らし」は、以前から行われていたが、一人暮らしの2割近くにも上っていることは驚くべきことである。調査では、心身の機能の低下に伴う生活の不便や不安を抱えながらも近隣コミュニテイでの付き合いと相互扶助関係の中で、日常的には安定した生活を営んでいることがわかった。また、「他出子」との関係も、7割程度の人は、交流と相互扶助関係が維持されているが、将来の介護問題や扶養に関しては、多くを期待しないという結果が得られた。やはり、問題は、現実に、要介護状態になった時である。施設をふくめて福祉サービス利用への意向と期待は高いが、やはり不安は高く、見通しは立たないといった状況である。そのかなで、自己防衛の一策として「出暮らし」が進んできているということであり、高齢者の再婚や現在地での子の帰郷による同居が部分的に行われているということである。 集落における相互扶助機能だけでなく、まさに一人暮らし高齢者を、住み慣れた地域で、どこまで支えられるか、そのためのレベルの高い、共同化された福祉システム求められているということである。
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