2004 Fiscal Year Annual Research Report
アクティブ・エイジングの社会政策研究〜英蘭両国における高齢者就業政策の新展開
Project/Area Number |
14510201
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
岡 眞人 横浜市立大学, 経済研究所, 教授 (80114940)
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Keywords | 高齢者 / 高齢社会 / アクティブ・エイジング / イギリス / オランダ / 就業・雇用政策 / 年齢差別 / 社会老年学 |
Research Abstract |
本調査研究の一環として英国に出張し、共同研究者P.テーラー博士とこれまでの調査の補足と調査結果の総括作業を行った。英国政府は過去10年間、雇用主に向けて高齢者雇用に関する意識改革を促す施策に重点的に取り組んできた。最近の雇用政策の重要な特徴は年齢多様性準則the code of practice on age diversityである。しかしそのインパクトは雇用主、特に中小企業経営者の行動や態度を大きく変えるに至っておらず、依然として労働市場内部における年齢障壁は残存している。政府は2006年を目標に年齢差別禁止法制定の検討を進めているが、定年制導入問題や平等に関する諸法律の適用を監督する単一機関の設置問題もからんで、賛否両論の溝は埋まっていない。一方、オランダ政府は高齢者の労働力率引き上げを目指して「高齢者と雇用問題タスクフォース」という独立調査機関を設立した。この機関は企業内部と産業で実施されるべきプロジェクトの支援・評価・促進、関連要因のリンクの解明、情報や支援の提供などの活動を展開し、2004年に報告書を提出した。報告書の基本スタンスは、長期にわたって実施されてきた早期引退制度が高齢者の価値ある知識や経験を廃棄し、社会保障・福祉制度の将来を危うくしていることに警鐘を鳴らし、高齢者雇用政策の充実を提言することにある。報告書は、企業、労組、政府、社会保障関係機関、市民が果たすべき責任について勧告を行った。その内容は、毎年、高齢者2.5-3万人の追加雇用創出を目標とし、問題認識と動機付け、年齢を意識した政策の策定、高齢者のエンプロイアビリティ、金銭的な動機付け、監督責任システムなどである。政府は2004年半ばから勧告内容の実施に着手したが、この問題に関するEUの統一目標2006年に向けて取り組みの本格化を図っている。英蘭両国の高齢者雇用政策はEUレベルの共通政策目標との絡みで進捗しているが、これまでのところ十分な政策評価を行える段階に至っていない。
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Research Products
(1 results)