2002 Fiscal Year Annual Research Report
在宅失語症患者の日常生活状況と家族の介護負担感についての継時的研究
Project/Area Number |
14510207
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Research Institution | Hiroshima Prefectual College of Health Sciences |
Principal Investigator |
綿森 淑子 広島県立保健福祉大学, 保健福祉学部, 教授 (00073023)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
相楽 多恵子 広島県立保健福祉大学, 保健福祉学部, 教授 (60336922)
本多 留美 広島県立保健福祉大学, 保健福祉学部, 助手 (10290553)
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Keywords | 失語症 / 介護負担感 / コミュニケーション能力 |
Research Abstract |
失語症は一旦発病すると終生の問題となる障害であり、暮らしの中でのコミュニケーションの不全は患者本人ばかりでなく家族にとっても大きな負担となる。しかし、外見上、障害が「見えにくい」失語症という複雑なコミュニケーション障害をもつ人たちとその介護者のニーズは十分把握されていないのが現状である。本研究では言語によるコミュニケーション能力に障害を持つ在宅失語症患者の日常生活状況を明らかにし、介護負担感とコミュニケーション障害の関係を継時的に検討することを目的としている。今年度は以下の3つの研究を行った。 1)失語症によるコミュニケーションの困難さが日常生活に及ぼす影響についての調査:失語症友の会連合会全国大会(東京)においてアンケート調査を行った。有効回収数264、失語症者の年齢構成は50歳代19%、60歳代48%、70歳代29%など、8割以上の方が発症後3年以上経過した慢性期失語症者であった。介護者の見守り時間が1日5時間以上のものが55%を占め、その理由の中には身体障害(32%)の他、本人の意思を他者に伝えるため(23%)、一人にしておくことが不安(24%)、本人が一人では不安がる(15%)など、コミュニケーション障害の影響と思われるものが多く見られた。これらの結果を踏まえて失語症者の家族の介護負担感についての評価法の開発を目指す。2)在宅失語症者の日常生活状況を知るために慢性期の失語症者を介護している3名の介護者に日誌形式により日常生活状況とコミュニケーション上の困難場面を2週間にわたり記載してもらった。その結果、日常生活状況には、病前の活動性、現在の年齢、身体状況などが影響していることが示唆された。コミュニケーション上の困難もさまざまな場面で生じ、解決には介護者側の努力を要することが見いだされた。一方、2週間の日誌記載は介護者にとって負担となるなど方法論上の問題点に関して更なる検討が必要と考えられた。3)患者と介護者の間の自然なコミュニケーションを捉える目的でパソコンを用いた会話評価法を開発した。今後はデータ収集・検討を行う予定である。
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