2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14510213
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Research Institution | SEITOKU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
松本 佑子 聖徳大学, 人文学部, 教授 (00150839)
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Keywords | アジア系外国人女性 / 母子家族 / 国際結婚 / ドメスティック・バイオレンス / ひとり親家族 |
Research Abstract |
本研究の目的は日本人男性との子どもを持ち、日本において生活しているアジア系外国人母子家族の生活実態及び養育実態と母親の生活意識を把握・分析し、彼女らの生活問題を明らかにすることである。本年度は前年度までの調査を基に埼玉県、群馬県、東京都、名古屋市、大阪府、福岡市等に在住しているアジア系外国人母子家族についてのさらなる質的調査と質問紙調査を実施した。調査対象はフィリピン人女性を中心に行った。1990年代初めよりフィリピン人女性と日本人男性との結婚が増加し、この国際結婚の増加に伴って、離婚も確実に増加傾向を示し、2002年には1990年代初めの3倍強という激増である。即ち、フィリピン人母子家族が増えているということは明らかである。本年度のフィリピン人母子家族の調査研究では以下のような点が明らかになった。 (1)母子世帯となった理由は大多数が夫の暴力からの逃避、そして離婚である。夫の暴力から逃げている間に夫が転居し、住所不明でオーバーステイとなっているケースもある。即ち、彼女らはドメスティック・バイオレンスの被害者である。 (2)今日の生活までに、夫からの逃避行から友人宅、シェルターと住居を転々としている。 (3)子どもが婚姻外での出生の場合、胎外認知であるため子どもに日本国籍を取得させたくても取得できないという問題を抱えている者もいる。 (5)子どもの年齢は幼児そして小学校低学年が多いが、中学生となっている子どももでてきていることから、彼ら母子家族の子どもの教育問題が大きな課題となってきていることが理解される。また、彼女らの多くは母国にも子どもが居て、呼び寄せているが、呼び寄せの子どもの場合は、言葉の問題と共に教育問題が深刻である。 (6)多くの母親は子どもが日本に定住することを望んでいる。 (7)生活実態では彼女らの大多数が時給約800円でのパートの就労であり、生活保護世帯となっていて、その生活保護受給期間が極めて長期化する傾向にある。 (8)生活保護を受けていない世帯は昼夜のパート就労という厳しい就労形態となっている。 (9)オーバーステイで不安を抱えている家族がいるものの、総体的に彼女らは日本の生活に満足していることが理解された。
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