2004 Fiscal Year Annual Research Report
保育カリキュラムの国際比較-保育の質と評価の観点から-
Project/Area Number |
14510239
|
Research Institution | Kobe Women's University |
Principal Investigator |
埋橋 玲子 神戸女子大学, 文学部社会福祉学科, 助教授 (50269924)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
泉 千勢 大阪府立大学, 社会福祉学部, 教授 (10071218)
|
Keywords | 保育環境 / カリキュラム / 国際比較 / アメリカ / イギリス / スウェーデン / 保育評価 / ECERS |
Research Abstract |
保育の質とその評価は、保育の質をどう「定義」し、その定義に基づいてどのように評価するかという「方法」にかかっている。カリキュラムは保育の質の定義の基本的な部分を構成している。 本研究では、保育評価ツールとして国際的にもその使用の範囲が広がっている「保育環境評価スケール」に注目した。このスケールはアメリカで開発され、アメリカ国内にとどまらず、多くの国で保育研究や保育の質の向上の手段として用いられている。他国の中でもイギリスでは大規模プロジェクト(「就学前教育の効果的な実施に関する研究Effective Provision of Pre-School Education=EPPE,1997-2003」)で用いられた実績があること、またスウェーデンでは子どもの活動内容の研究にあたって当該の保育機関においてどのようなレベルで保育が提供されているかの指標としてスケールでの測定結果が使用されているという実績がある。 1年・2年次の研究ではスケールの理解と訳出、日本の保育機関での試行、イギリス、スウェーデンにおけるスケール実施状況の現地調査と両国のナショナル・カリキュラムの内容と現場での実施状況の調査を行った。それらにより、保育の質の定義は社会が保育サービスの成果として何を期待するかという認識と深く関わっていることが明らかになった。日本・イギリス・スウェーデンはナショナル・カリキュラムの中核となる理念はそれぞれ異なるが、保育の質のレベルを評価するに当たってスケールは有用性を発揮することが理解された。 3年次の研究ではスケールの邦訳を出版したことにより、日本の保育関係者にスケールを用いての保育内容研究を示唆することが可能となった。また保育者対象の研究会を実施することでスケールの日本の保育現場で使用することの可能性、ひいては保育カリキュラムの国際比較にスケールを使用することの可能性が示された。
|
Research Products
(5 results)