2003 Fiscal Year Annual Research Report
近代日本における教育情報回路形成の歴史的研究(1)-情報回路としての地方教育会-
Project/Area Number |
14510258
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
梶山 雅史 東北大学, 大学院・教育学研究科, 教授 (60066347)
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Keywords | 教育情報 / 教育史 / 教育会 / 情報回路 |
Research Abstract |
1.長崎県教育雑誌、山梨教育雑誌、埼玉教育、富山教育、福岡県教育、北松浦郡教育雑誌、岐阜県土岐郡教育会雑誌、岐阜県稲葉郡教育会会報、愛知県中嶋郡教育会雑誌、荏原郡教育会会報等のバックナンバー並びに福島県教育会雑誌目次集等を購入し、大正期の記事内容の分析を行った。 2.国立国会図書館NDL-OPAC、NACSIS Webcat、各県内図書館総合目録(蔵書検索サービス)等を検索し、東北諸県から着手して国内47都道府県の地方教育会雑誌所蔵一覧データベースの作成を終えた。大正期には郡部教育会発行の機関誌や刊行物が多く登場しており、山形県酒田市立図書館、富山県立図書館、高岡短期大学図書館、茨城県立図書館、熊谷市立図書館、さいたま市図書館等に郡単位の刊行物が比較的多く所蔵されていることが判明した。 3.大正5年5月、京都府教育会主催の全国教育会連合協議会において教育会の任務・組織・事業など教育会のありようが論議された。『京都教育』第288号等を分析し、法人として中央教育会を起こす決議が行われた経緯を明らかにした。大正8年第1回帝国連合教育会開催の前史がみてとれる。 4.日本教育史研究会サマーセミナーにおいて、地方教育会の教員養成事業の内実を紹介し、その情報回路が変則的小学校教員養成ルートとして極めて重要な機能を果たしていたことを明らかにした。 5.教育史学会第47回大会コロキュウムにおいて、「近代日本における教育情報回路形成史への視点-情報回路としての地方教育会-」とのタイトルで報告を行った。近代日本社会に学校装置を着地させ、駆動させる上で、地域に教育情報を最も濃密に凝集させ循環させ、時事案件処理を担った地方教育会は、きわめて強力な「メディア」として機能したとの新たな視点を提起した。 6.大正新教育の潮流が教育会雑誌においてどのように現出していたか、『岐阜県教育』、『宮城教育』を事例として考察をすすめた。とくに『宮城教育』はダルトン・プラン特集をくんでおり、宮城県における新教育理論受容の興味深い様相が明らかとなった。
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